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2017年8月 8日 (火)

■『ガンバード』のこと。 -更新第1142回-

初代PSを購入した時、いっしょに買ったソフトが、兄は『MYST』、自分は『ガンバード』だった。今でも初代プレイステーションの本体で『ガンバード』を遊びたいなと思うことがままある。当時プレイステーションはオシャレな機体だったが、いま見てみると、鼠色をしたプラスチックの筐体で、いま現在クールとされるクールさは備えてはいないが、ワークステーションが「ワークする」のと同じ立ち位置で「プレイ」することに相対するためのマシンとしては、必要十分なクールさを具えていたと言えると思う。あの無愛想だけど可愛らしい手触りと風合いの、本体とコントローラー。まだアナログスティックが備わる前の、こちらもまた、いま見るとシンプルだが当時としては革新的だった「足つき」のコントローラを握り、「メモリーカード」というそれまでのゲームマシン上では見慣れなかったデバイスを使って遊ぶ、あの時代の感触に立ち戻りたくなる。メモリーカードを使ったデータ管理については、兄に「使い方は分かるか? 注意しろ」と釘を刺されるくらいだった……実際使ってみたら別にむずかしいことはなくて、逆に「あんなに念を押されるくらいだからこんなに簡単なはずはない、自分はなにか手順を見落としているのではないか?」と深読みしてしまったのも良い思い出だ。当時の自分の話をすると、大学での立ち振る舞いが上手くいっておらず、いま思うと軽いノイローゼ、鬱にかかりかかっていたくらいだった(と思う)。ずっとうつむいて、背中を丸めて歩いていたことを覚えている。なぜそれを覚えているかというと、「胸を張って歩けば、なにか変わるかもしれない」とあるとき何かの拍子に思って、それを境に俯かずに歩くことを意識し始めたからだ。そんなこともあって大学に居場所がなく、大学だけでなくて、当時一生懸命にやっていたこと(演劇だ)も捨ててしまって、心のよりどころも失っていた。「自分とはこういう者である」という手がかりを一切失っていたのだ。自分は高校生までオタクだったから(それ以降や今そうではないというのではない。大学のその一時、オタク文化へのタッチをしていなかったのだ)、とりあえず「そこ」まで戻ろうと躍起になって、なにか手を付けられるオタク分野の中にある作品を探して、見つけたのが『それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』だった。正直、無理にのめりこもう、好きになろうとしていたきらいはある。面白くなかったわけではもちろんなくて、十分に面白かったのだが、心底ホレ込み、のめり込んでいたか? と言われたら……そこまでではなかったことを素直に告白しておく。但し逆に、その様な思いで、このような時期に深くコミットしていた作品だから、皮肉にも自分の心に深く残る作品にはなってしまった。そして、『ガンバード』である。『ヤマモト・ヨーコ』は、シューティングゲームをこよなく愛する女子高生、山本洋子の物語である。大学生の自分が、自分という存在の手掛かりを探して縋り付いたのが、家庭用テレビゲームにかじりついて熱中し、幸せな時間を過ごした高校、中学、小学校時代の自分の姿だったのだ(うちに任天堂のハードしかなく、RPG嫌いの山本洋子がSFCというハードを憎んでさえいたのはこれまた皮肉だったが)。そして、小中学校時代の自分を一つのところに固定していたのはまぎれもなく、シューティングゲームが好き、ひとりの連射小僧だということであった。かくて、よりどころを失っていた自分は家にあったSFCで夜通し『ロマサガ2』を遊ぶ傍ら(こちらはこちらで、夜通し『ロマサガ2』をやって、明け方に寝ていたものだから、父は私のことを心配してくれていたらしい……不満をもらしていただけかもしれないが)、中古で安く買ってきた『サンダーフォースⅢ』をプレイしていたのだが、ある時兄が持ちかけてきた「金を出し合ってプレイステーションを買わないか」という提案に乗り、記念すべき購入1本目のソフトとして『ガンバード』を選んだのだった。自分のシューティングプレイスタイルは、上手でもクレバーでもなく、とりあえず(ノーコンティニューで)1周出来れば良いという、ボムも使いまくりのブサイクなものだった(それでも1周するのがやっとだった。持ちキャラは鉄だ)が、それでもそうしてプレイすることが、自分が自分の位置に戻るための十分な手掛かりにはなってくれた。正直に言うと、『ガンバード』もまた、『ヤマモト・ヨーコ』同様、心の底から面白い、素晴らしいと感じるゲームではない。ゲーム自体の自分にとってのインパクトは、のちに出会うことになる『アインハンダー』や『スカイガンナー』の方が上だ。けれども、それでも、この出会いがあったことで、『ガンバード』は自分にとってなにものにも代え難いオンリーワンの、超オモシロゲームなのである。
……しかしもう一つ気になるのは、あの時、「胸を張って前を向いて歩く」ことのきっかけを作ってくれたモノがなんだったか、思い出せないことだ。そこにもなんらかの作品の存在があったと、オイサンのおぼろげな記憶の断片が言っている。


▼ガンバード OP 大空の冒険者
  
  
  

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