2017年8月22日 (火)

■夏を欺いて。~2017年夏、帰省の日記~ -更新第1145回-

2017年、夏休みの後半戦を……去年と同じ北海道は旭川にあります、
朱鞠内湖の湖畔で過ごして来ましたオイサンです。

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前半戦は前半戦であって、先日まで奈良の実家で過ごしておりました。
今回の主題はこちらの奈良のハナシなんだけど。

サテ23回目の渡道となります今回の朱鞠内、また別で詳しく書くとして、
大体のコースは

 旭川 →(電車で西へ30分弱)→ 深川 →(バスで北へ2時間)→ 朱鞠内

のヨテイ。復路はそのまま折り返しで、最終日に、恒例の美瑛をうろつくくらい。
しかし、旭川に着いてすぐに向かったcafe・花みずきさんが盆休みだったり(去年はちがったのに!)、
深川の駅前のコインロッカーを前もって調査もし、「ある!」ことをアテにして行ったのに撤去されていて
荷物を持ったままうろつくことになったりと、
冒頭からなかなかの荒れ模様です。マ大したこっちゃないけど。

花みずきさんのお休みについてはさすがにどうしようもなかった
(サイトやブログはチェックしてたのに……もしや、Facebookとか別で更新されてるんだろうか……)が、
荷物の方は、実は何とかなった。
昼ゴハンを食べた、深川の「ふじ屋」さんというお店で、
出しなに「どこか近場に、荷物を預けられそうな施設はないか」と尋ねてみたら
「うちの事務所で預かってもいい」と言ってもらえたので、お言葉に甘えさせてもらった。

だが、今日はそれで良いが、明後日も深川をぶらつく予定であるので、
その時もふじ屋さんでゴハンを食べて……というワケにはいかない。
「自分の道は自分で切り開かなければ!」と一念を発起し、某所でチョイと交渉。
あることを条件に、明後日、少しの時間だけ荷物を預かってもらう算段をつけた。

  クックック、この程度、西奈良きってのタフ・ネゴシエーターと呼ばれた吾が輩には造作もないことよ。
  異方から来たというザシュニナとかいう若造との交渉も、私に任せていれば万事うまく運んだものを……

妄想はさておき、駅コインロッカー撤去の理由は、
「利用者数が少ないから」だそうで、マそんなら仕方ないわと思いはすれど決してゼロではなかろうので、
ゼロでない部分の救済策は考えておいてもらいたかったと思う。
マそれも「取りこぼしても仕方がない、そのくらいなら惜しくない」と思える程度に
観光客がにぎわっているのなら、こちらから言えることは何もないんですけどね。
オイサンの様な、一人歩きのロンリーウォーカー旅人マンにとって、
「荷物を預ける場所がない」というのは致命的、
もうそこは訪れる対象から外さざるを得ないも同然なので、
出来ることなら何か考えておいてもらいたい所存である。

尚、旭川のエキナカのコインロッカーは、大多数のコインロッカーが
「そんなこと簡単に想像がつくはずなのに恐らく何らかの理由があってその条件を満たせていない案件」
No.1であるところの、
「コインロッカーコーナーに両替機があるととても便利」
を満たしてくれたので最高に最高であると言わざるを得ない。
イヤね、ホント少ないんスよ。両替機が設置されてるコインロッカー。
マ管理する側にしてみれば、ただでも管理が面倒なのにこれ以上余計な手間が増やせるか!
ってなモンなんでしょうけれども、それがあるだけで利用者はそこそこ増えると思うんですけどね……。
しかし、「小銭を作るために近隣の店舗・自販機で買い物をする」ことを見込んでいる、
それを常識としているような面が、きっとあるのだと思います。

うーん、勘弁してほしいなあ。

ちなみに、荷物を預かってもらう交渉相手に、これからドコ行くか尋ねられた。

  オイサン「これからバスに乗って、(深川から)朱鞠内湖まで行き、2泊して戻ってくる」
  おばさん「あー、じゃあ深名線(深川~名寄を結ぶJRバス路線)に乗るのね。
       うちの息子が運転手やってるわw」


と、なんかよくわかんないほっこり情報を得た。なんなんだ。

お宿は昨年と同じ、レークハウスしゅまりないさん。
ダッチオーブン料理と朝晩のゴハンのおいしさ、
スタッフさんのキャラの面白さや宿の謎ギミックの数々が忘れられずに投宿。
しかし、ところどころマイナーチェンジしててツッコミどころは随分減ってしまった……。
本棚の本のラインナップとか、廊下に突然現れるパットゴルフのナゾ加減とか、
廊下の壁に、デカい虫みたいに貼りついてるルーターとか。
イヤいいんだけどさ。



■夏休み前半戦、帰省中の出来事 in 奈良



2017年・夏の帰省が終わった。
なんだろか、何かしらやったけど、何にもしなかったような気もする。
そんなフシギな、5日間の日記。



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■1日目 8月11日(金・祝)
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帰省の新幹線は、14時半頃。
本当は早朝にしたかったのだが、出遅れてしまってとれなかったのです。
新横浜には12時半頃に着いてしまって、いつもの如く新横浜のポティエコーヒーに潜伏して時を待つ。
もう少し早く出て、お昼ゴハンはエキナカのコロラドで本格的にゴハンを食べてしまえばよかった。
どうもこの店の存在をいつも忘れてしまう。ワリといい位置にあるのだが。
新横に着くなり、イヤなアナウンスが耳に入った。

  「本日はたいへん混雑しており、自由席に乗り切れない。
             なので特別に指定席車輛にも立つことを許す」

だと。バカを言うな。乗車規制せえよ。
指定席の快適さを維持するのがスジではないのか、なんのための指定料金だ。
あんなモンにウロウロされたら鬱陶しくてかなわん。
……と、腹立たしい気持ちで待ち時間を過ごし、色々策を考える。

ポティエコーヒーにはゴハンメニューはあんまりないと思っていたが、
サンドイッチやスパゲッティなどそこそこあった。
サンドイッチが高いうえにもう一つっぽかったのでスパゲッティにしたが、
ランチメニューではないレギュラーメニューの方のサンドは良さゲだったのに気付けなかった。
次回はそっちにしよう。

サテ出発直前、自由席難民の流入を恐れてグリーン車への変更を試みるも、
夕方までは何もかもが満席だという。これは本格的な帰省ラッシュのはじまりだ。
オノレ愚民どもめ、いっぺんに移動し過ぎだ。
大した用事があるわけでもなかろうに、関東でじっとしておられんのか。私の邪魔をするな。

  マ結果的には、自由席難民がオイサンの車両まではやってくることは全然なかったんですけども。
  あーハラハラした。余計な心配をさせるな、メンドクサイ。

京都で降りた際、西日本のクワッとした西日の暑さに思わずうなってしまう……が、
フム、普段の関東の不快な湿気に比べれば、全然どうということはない。
尚、この日は関東が随分涼やかだったらしく、
同日から始まっていたコミケ(11日(金)~13日(日))に参加していた隊長からは
「物足らん、試練が足らん!」と声が上がるほどであったが、
関西も、普段のあの嫌らしい気持ちの悪いザ・関東湿気熱に比べれば可愛いものである。
若干カラッとしているくらいだと思うぞ。

京都からは在来線に乗り換えて小一時間。最寄駅で降り、ホーム上からいくらか写真を収める。

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地元の町の、小中学生の自分か、母に誘われてよく行っていた駅前のテナントビルの2階に、
ボンボニエールという喫茶があった。
その店がとうに無くなっているのは知っていたが、
その跡がどうなったかがなんとなく気になっていたのでそれを見に行き、
ついでに明後日行くつもりにしているラーメン屋の盆休みスケジュールを確かめ、
地元スーパーの中のおもちゃ売り場はいまどうなっていたっけ? などなど、
ナワバリの巡回+ポチポチと写真におさめながら家路をたどる。
我ながらよく通報されたりしないなーと感心する。ワリと怪しいと思うんだけど(自分で言うかよ)。

  ところで、今回の帰省では、写真がなんかイマイチだったなと感じる。
  具体的に何がということはないけれども。
  自分のアウトプットに、最近ちょっとご不満です。どうしたんだろう。

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町並みに大きな変化はなかったが、駅前に二階建てのロソーンが出来てたり、
母校である小学校の前を通る細い通りの奥まったところに
突然こじゃれた感じのレストランが出来てたりしたのが更新ポイントだろうか。
他には、新しくたこ焼き屋が出来ていたりして、実家に帰るなり母が
「ドコソコに新しくたこ焼き屋が出来たけどちっとも営業していない」などと言われても、
「そこやったら帰ってくるときやってたで」と即座に対応出来てしまって驚かれたりもした。
ここは私のナワバリだからな。
家への到着は18時過ぎで、他には何もできず。父も母も、マ元気そうである。
家の中は特に
晩ゴハンはスズキの塩焼き。ンマかった。

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■2日目 8月12日(土)
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この日は、父が事前予約してくれていたおそば屋さんへおそばを食べに行く。
そばごときに予約とは大仰なと思われるやもしれませぬが、十割そばは予約分しか打たないのだそうな。
そのあとついでに、私の誕生日プレゼントを見繕ってくれるというので、
近隣のデカい百貨店+イオンの複合施設へ赴くことに相成った。

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「そのそば屋のおばちゃんは愛想が悪い」と母親から聞いていたが、特段悪い感じでもなかった。
やはり関西では、愛想悪い、ノリ悪いと判定される閾値が低いのだろうか。
求められるサービス精神の高さ(サービスの質の高さではなく、あくまでおサービス精神の高さである)が
ハイである気はする。

  愛想の悪さで言えば、オイサンがこっち(関東)で馴染みにしている
  世界一うまいカレー屋の主人の方が百倍愛想がないと思う。
  しかしそれでも、それを分かった上でその店のカレーが美味いのでその店に行くのだ。
  「そのカレー屋は、食べログに書かれるくらい愛想が悪いぞ」と母に自慢したが、
  このそば屋のおばさんも食べログに書かれているらしいw くそうw 引き分けかw(競うな)

おそばの他に、そば屋のサイドメニューで定番の野菜天ぷらと出し巻き卵をご注文。
パプリカの天ぷらがことのほかうまかった。
出し巻きもなかなか。大根おろしが辛いのはポイント高い(謎のポイントシステム)。

  しかしまあ、こんなところで生意気にも「なかなか」とか言ってしまうから、
  「外食してるから舌が肥えてる」とか言われてしまうのだろう。
  イヤ、ぜんぶ美味しいんですよ?

肝心のおそばは、……まあまあ、普通でした。これは後日、車で二人になった時に父自身も言ってた。
「モ一つパンチがきいてない」というのが一致した見解。
マ父は、日本のザ・そばどころ・島根出身(出雲ではないけれども)なので致し方ない。
出雲そばのパンチ力は、日本の他のそばどころと比べてもアタマ一つ抜けてるからのう。

   ……誤解のないように申し上げておくと、「一番うまい」と言っているわけでなく、
   あくまでも「パンチ力」というパラメータが突出してる、と言ってるだけですからね。
   繊細さとか、香り高さとか、他は他で優れてるおそばがある、と思いますよ。
   危ないアブナイ。戦争になるところだった。


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店の駐車場が2台分、しかも縦に停めるレイアウトであってコレマタなかなか利便性が高くなく(婉曲表現)、
父の停め方がセンタリングが利いていた感じ(超婉曲表現)であったため、
後から来た人が停められず、停め直すことになった。
マそれ自体は特に問題ではないのだが、その際、

  ウチのクルマを一旦出す
     → 後から来たクルマを先に(奥に)入れる
         → ウチのクルマをあとから(前に)入れる

という形になって、マそれも別に普通だな、と私は思っていたのだが、母はコレを
「どうしてウチのを先に出す前提で考えたのか?」
と、微妙に納得がいっていないご様子であった。
「さっさと食べて出て行く、という父の意志表示か?」と受け取ったらしい。
母はゆっくりしたい派の人なので、人となりも理解した上ではわからないではないが、
一般的に考えたら「先に来た人が先に出ていく」としておくのが、
万人と相対して一番ケンカにならんで済む考え方ではあろう。
なんとなく「なるほど」と思った一幕であった。

あとこの店はトイレも奥に長い間取りになっており、
座って用を足していたらノックされても手が届かない怪物くん仕様であった。
縦長のスペース構成が好きなのだろうか。

サテ食事も済んで買い物へ向かう。
2、3駅ほどの距離をクルマで走ると、同じ道を以前ジョギングで走ったときにも感じた、
奈良という県・市は、あまり潤沢に儲かっていないのだろうか、という話題になる。
そう、道がよくないのである。
マこれまであまり商売っ気がなく、宿泊する場所が少ないことは知っていたが、
そこそこ稼いではいるものだと思い込んでいた。
最近は宿泊施設の増強にもチカラを入れていると聞いてはいるが、どうなのだろうか。

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  関係ないが以前京都でタクシーに乗ったとき、運転手に奈良から来たことを告げたら、
  「奈良はリニアも通る言うのに、泊まるとこもありませんですやろ、やる気があるんかねえ」
  と悔し紛れにかイヤミを言われたことがある。
  そんなもん吾輩に言われたかて困る。

買い物は……めぼしいアイテムが見当たらず、本来の目的は失敗に終わった。
母の誕生日も近いのでそのリサーチも兼ねて母の動向を観察してもいたのだが、
クツの売り場に吸い寄せられていくからクツが欲しいのかな? と思えば、
今度は陶器の売り場に吸い寄せられ、
挙げ句にカワウソの形をした涼感抱きマクラに吸い寄せられていくもんだから、
結局何が欲しいのかは分からずじまいであった。何でも欲しいだけだろう。

しかし奈良は、ただの駐車場でも景色がいい。安心する。

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買い物を終えたところで、ちょっとひとりで奈良(駅の方)まで行きたい、
ついてはここで分かれて単独で行動すると告げたところ、奈良駅までは乗せて行ってもらえることになった。
目的は……コレを撮りたかったのである。

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以前、ツイッターのフォロワーさんに存在教えてもらってから、
場所のアタリは大体ついていて、行けない場所では全くないのに
見逃していたコトがなんとなく悔しかったのである。

奈良駅へ向かう途中の交差点で停まった時に、
角にあったパチンコ屋に老人が何人も吸い込まれていくのを、母が物珍し気に見ていた。
オイサン的には珍しくもなんともないが、母はそういうのを見慣れていないらしい。
まあ縁がないからな。

三条通を東進し、猿沢の池のほとりでおろしてもらうと……
この炎天下に、まあ人が多い。
ホリデーシーズンに日本有数、否、世界でも有数の観光地に降り立ったのだから無理もないが。
しかしさすがにこの暑さに異人さんたちも辟易されているようである。
堪能して帰れ、そして郷里の知人に喧伝するがいい。奈良は暑い、蒸し暑いと。
そういえば父母から聞いていたが、この一週間、奈良の夜は燈花会としてお祭りになっているらしい。
そりゃまあ人も多いか。

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目当ての物は2分も歩かず見つかった。
ウーン、前見たときは、こんな雑な置かれ方してたっけなあ。
よく盗まれないもんだな。

目的はアッサリと達成したが、このまま帰るのももったいない。
て言うか、両親よりも家に先に着いてしまう可能性がある。鍵を持っていない。
ので、近場で目についた大乗院庭園と、鷺池の浮見堂を見て帰ることにする。
不審ヶ辻子(ふしんがづし、と読むらしい)などという怪しげな小道を抜けて大乗院庭園へ至り、
一回り&一休みしてから瑜伽神社を経由して浮見堂へ至った。
瑜伽は「ゆうが」と読み、サンスクリットに由来するそうな。ヨーガと語源が同じ、とも。
燈花会の準備なのだろう、赤いTシャツを着た準備団体が忙しく動き回っている。
ご苦労様です。

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ほどほどの時間になったので、駅の方へ向けて折り返す。
奈良公園の中を仔ジカの姿をめでたりしつつ歩き、多少店屋でも覗いて行くかと
方角を再び猿沢の池へと向けた。
そこで目についたのが……坂の上から猿沢の池を見下ろすことの出来そうな、潜まった間口のお茶屋さん。
わらび餅やら氷やらと、火照った体を誘惑していらっしゃる。
思えば奈良に暮らして20年、観光客の気分を知るようなことは一切してこなかった。


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せっかくだからここはおノボリさん気分を出してみるか、これも何かの縁だと、
到底格別な味を出してなどいそうもない、雰囲気重視ゲなその店ののれんをくぐってみた。

  ……などと失礼な書き方をしてますが、
  決してチャラついてもいない、なんなら結構な歴史のあるお店だと思われます、
  立地的に。

わらび餅とアイスコーヒーを注文しましたが、
アイスコーヒーよりも、最初に出てきた冷茶の方が美味しかったような気がする。
おかわり用のちいさなポットもついてくるし、大変良い雰囲気でした。
あと、眺めも良い。
後から入ってきたカップルさんの黒づくめの女性が大変良い前髪パッツンわがままボディで
ちょっとうらやましかったです。
くそう。
この後京都のホテルで、そのわがままボディをほしいままにするのか!!(下品)
お会計が1100円だったか……小銭を探したが見つからず、
2000円出したところ
「100円玉があったりは……しないんですよねw! そうw!
 ごめんなさい、2000円出されてるんですもの、ないんですよねw!
 ホントごめんなさい変なこと聞いちゃってww 気にしないで下さいねww」
と、なんだか猛烈にフォローされてしまった。スマヌ、本当になかったんだ。

くだらないおみやげを探して、三条通りのおみやげ物屋を物色すると……
あったあった、くだらないのがw
とりあえず「シカ飛び出し注意」のクリアファイルなどをゲット。他にもいくつか。
このテのは初めて見た気がするけど、最近出始めたんだろうか?
「熊出没注意」に随分とおくれを取ったな。オイサンもこの発想はなかったけど。

しかしそれより驚いたのは……この、5つの塩シリーズ!

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それの、奈良県限定バージョンが売られていたこと!!
な、なんだってー!!
……イヤ、そんなビックリするようなことかと思われそうですが。
そして確かにその通りなんですが。
これにはちょっとマクラがありまして、
上の画像をツイッターに上げたときにやたら喜んでくれた食いつきのイイ関西人がおられ、
「そんなん関西にはないw!」と喜んでくれたのですが、
その彼と最初にお会いしたのが猿沢池だった、という、なんというか、
奇跡のような冗談のようなめぐりあわせ。灯台もと暗し。モッてるなあ。

デそのお塩5点セット、
買いもしない物の写真を撮るわけにもいかず、かといって、
買うかっつったらネタのためにそれもどうやねんっていうのもあって買わなかったので
証拠はないんですけれども。
うーん……。次行った時もあるかなあ……。
お疑いの方は、奈良の三条通り、猿沢池から4、5軒目あたりにあるおみやげ屋さんに行って
お確かめいただければ。
そもそも、奈良の塩5点セットて。そんなに塩なんかあるんかい。
シカの汗から乾かしてとった塩とか?

くだらない衝撃を受けた後は、アニメイト奈良に寄って帰ります。
母が「『白暮のクロニクル』の10巻だけ、どこ行ってもない!」と嘆いていたので、
あれば買って帰ろうと思ってましたがなかった。

近鉄奈良の駅前に着くころには、時刻は17時。
夜にはお祭りとあって、人の数も指数関数的に、天文学的に増えてきました。
さっさと退散しないと死んでしまう。
しかし、近鉄奈良駅の中の様子を見るにつけ、昔に比べれば、奈良もワリカシ商売っ気が出てきた気がする。
ゆるキャラも、「せんとくん」みたいなシルクロード博の出がらしみたいなキャラじゃなく、
「しかまろくん」なんていう……中途半端に媚をうったキャラを打ち立ててきたようです。
……どこのバカだ!! こんな何のエッジも利いてない、ねむたいキャラにゴーサイン出したのは!!
センスのかけらもねえな! これだったらせんとくんの方が、周り見えてない感高い分、710倍マシだよ!
ヨソの県が多少しょうもないキャラを打ち出してても腹は立ちませんが、
自分トコのキャラがこう、中途半端にセンスないと……恥ずかしいし、腹が立ちますな……。
まったく。

この日の晩ゴハンは、島根生まれの父が郷里からわざわざ取り寄せてくれた鰻。
マ昨今のアレやコレやもありまして、なかなかおおっぴらには喜べないところもありますが……
やっぱうめえわ。

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昔食べた天然モノに比べると、養殖物は脂のノリ方がちょっとわざとらしいというか、
CGみたいだけど。
「天然モノはとてもじゃないけど手が出ない」とは、
仕入れてもらった業者さんの弁だとか。仕入れることも出来ないんだね。
そりゃまあ、絶滅危惧種だもんね。
ありがたやありがたや。これが最後になるかも知れんのだなあ。



一旦ここまで。3日目~5日目は後日。
オイサンでした。



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2017年7月 8日 (土)

■些伽巳日記~Sagami-Nikki~世田谷散歩マン! -更新第1133回-

今日は、今年初めて蝉の声聞いたな。
オイサンです。


何かのラジオで、パーソナリティがガタイのゴツいゲストに、

「あんたのカラダじゃ経堂辺りは走れないからw!
 それに引き替え先週の××くんは小粒w! 世田谷向きww!」


とネタにしていたのを聞いて
……これは勿論アレですよ、
  オシゴトのスケール的な話もひっくるめて皮肉ってる言いっぷりですよw?……
大変ユカイに笑っておりましたところ、
先々週の土曜日、いつもの4紳士の集まりが新宿であったので、
経堂で途中下車し、豪徳寺、梅ヶ丘まで歩いてみた。

  「なぜそんな寄り道をするのか」だって?
  休みの日に、ただ新宿に行って帰るのってなんか癪に障るんだよw
  新宿以外に目的地が欲しいわけです。

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「セタガヤ」とは、関西生まれの関西育ちのオイサンは、言葉やその響きは知っていたものの、
関東に暮らして20年近くになるのにワリと最近まで具体的にどのへんかは
未だにちゃんと把握してなかった。

経堂へは以前一度だけ、小田急の忘れ物を受け取りに来たことがあり
(小田急では何故か、遺失物・忘れ物は最終的に経堂の忘れ物センターに集められるのです。
なぜこんな中途半端な駅に……?)、
その時に印象に残っていた白山陶舎といううつわ屋さんを覗いて、
特になんてことのない道を選びつつ豪徳寺へ向かう。
するとまあ、どうでしょう。なんとも閑静ではありませぬか。
なるほど、休日の午前中! っていう感じする。

細くて不規則に入り組んだ道に、これまた不規則な形の土地と家が並んでいるが、
嫌な密集の仕方じゃなく、いくらかゆとりを感じさせる立ち並び方をしている。
上品な気配がある。
かといって、あからさま豪邸が建っているわけでもない。イヤ、中には豪邸もありますが。
マときどきぶっ壊れた家とかもあるんだけど、全体としては不思議と、荒んだ感じ、
やさぐれた印象を受けなかった。
強いて言うなら、「絵になる」というか、「絵に描いたような」住宅街であって、
ドラマに出てきそうな風なんであった。

  江の島の北の方、ちょっと山の方も似た感じの場所があるのだけど、
  あそこともちょっと違う感じでしたね。
  あっちには……ゆとりが感じられなかったな。

……ていうか、ドラマで見てきた住宅街が、多分こんな雰囲気をお手本にして作られていたのだろう。
この辺でロケをしたりもそこそこされているのではなかろうか。

……マどっちが先なのか分からんけども。
こういう風景が、視聴者のシンパシーを呼ぶからこの辺が代々舞台にされてきたのか、
この辺がドラマにフィーチャーされたから、人々はこの風景にシンパシーを感じるのか……。
ただまあ何となく、「素敵な東京ぐらし」に憧れを抱く人々のモデルのような風景が
ここからジェネレートされている、ということは、田舎者のオイサンにもなんとなく伝わってきた。
ロクにドラマも見て育ってきてないけど。

  ウェイが「素敵な湘南ライフ」に憧れを抱くのと同じだ。
  確かにこれは、千葉にはないものだ(よけいなおせわだ)。

いずれにしても、歩きながら「なるほど世田谷、こういうことか」
とよく分からないナットクをしてしまった。
確かにここは、ガタイの良いマッチョマンは上手く歩けない気がする。道幅的な意味で。

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豪徳寺から梅ヶ丘に向かう分岐のところにコーヒー屋があったので
気まぐれにそこでテイクアウトしてみようとアイスコーヒーを頼んだら、
ヒゲ面コワモテ細マッチョのにーちゃんが
「カフェラテがおすすめなのですが……」と、
店を開くときに1000万借りた金持ちの後輩を
                        殺して埋めた
ような声
(どんな声だ ※著しく偏った個人の感性です)で言うので、おとなしく要求を呑むことにした。
エスプレッソがご自慢なんですねわかります。良いエゴだ。

デその殺人カフェラテ(ひどいあだ名をつけるな)、美味しかったです。
エスプレッソをダブルにすれば良かったな。
けど牛乳は、普通にお店で売ってる低温殺菌牛乳なんすね。
あと、あの分量で500円はちょっと高いとは思う。しかしそれも、ナットクの世田谷プライスなのだろう。
美味しかったは美味しかった。

しかし世田谷、
住宅密集ジグザグみちを歩いてたら突然結構な広さの砂利敷いただけの雑な駐車場が現れ、
その真ん中に井戸の遺構があったりと、
なかなかこころときめく風景も内包しておられる。
確かにこれは、ドラマの発生を予感させるものではある。
なんていうか、小諸の都会版、みたいな趣。

「閑静な住宅街」なんていう冠を与えられていて、
いやいやいや、言うても都会の真ん中でしょ、東京でしょ?
そんな静かなはずないやん、そこそこうるさいんでしょ? て思ってましたが、本当にしずかでやんの。
ブッ殺すぞ(どうした急に)。

そうして梅が丘までトボトボ歩き(どうした元気を出せ)、
駅の北側にあった羽根木公園とやらをひと巡り。
そこで眠っていたツラ構えの良いネコスケをぱちりと撮ってツイッターに上げれば、
ネコ好きのヨ氏から即座に反応が返ってくる。ホントにネコ好きだな!! 隊長もだけど。

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ヨ氏が
「美登里寿司が食いてえ」
などと言うので、なんだそれはと尋ねれば、
どうやら駅前を通ったときゲロみたいに行列していた店がそうだったらしい。
なるほどアレには並びたくないな。安くて美味しいらしいのだけど。

新宿での集まりまではまだ随分時間があったので
梅が丘周辺をぐるっと回って見つけた適当な店でとろろなどを食べ、駅前で古い喫茶にしけこんだ。
するとまあ、本当に古くから親しまれた地元のお店だったご様子で、
結構な年老い系マスターが、若いご夫婦と、でっぷりと風格を身にまとった常連と思しきデb
……巨漢の御仁と談笑しておられる。
子どもが生まれたばかりの若夫婦が、その報告に来ておられたようだ。
ホンマブッ殺すぞ(なんでや)。

マスターの、いちいち歌うような
「いらっしゃ~ぃ♪」「ごっ注文は~?♪」「ありがとうございま~っす♪」
という応対が大変心安いお店でありました。
心がルンルンする。

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というワケでなるほど、
世田谷にはトレンディドラマが憧れた、暮らしの空気があったように思われる。
まあトレンディドラマ見たことのないオイサンにはあまり関係ないけども。
同系統のアニメが参考にしているテンプレな町並みってのも、
日本のどこかに転がっているのだろうか。

しかしどうであろう、住みたいか? と問われたら……まあ、あんまりだな。
幼き自分の原風景とはあまりにかけ離れている。
が、自分の原風景など追い求めていては、
いつまで経っても、自分の今いる風景でさえも借り物以上のものにはならないであろう。

こちらへ出てきて、今年ではや20年。
しかしオイサンにはこの住まいも、この町も、この風景も、
未だ借り物、骨を埋める場所だとは、到底思えずにいるのだった。
覚悟を決めるに足るような、確固たるものが見つからない。


 

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2017年6月30日 (金)

■裾野に根付く~甲州・昇仙峡ぶらり旅・その四~ -更新第1131回-

2017年のGW、オッサン3人で行く甲府・昇仙峡と忍野八海の旅。
第4回……。
ようやく2日目。
景色はいいけど、イベントはもうそんなにないです。
今回でおしまい。ちょっと長いけど。

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お宿・菊富士のメルヘンなお庭にて。



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■■■━ 2日目 ━■■■
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■2日目:朝 ホテル菊富士を出発し、忍野八海へ


2日目、決まっているのは
  ・忍野八海に行く
  ・道志みちを通り、途中、道志の湯で風呂を浴びて帰る
ということくらいで、朝メシをどこで食らうかということすら決まる前から
クルマは走り出してしまいました。
「どこか目についたところで入れそうな店にでも入りましょう」
という言葉も虚しく、車窓の風景は走り出してものの数分で人里から草原へと変わっていったのです。
合掌。
いやー、甲府、ひらけているように見えて、ひらけ過ぎ。
フルオープン。田舎。あっという間に野原だもの。

結局、朝食はお店を見つけることなど出来ず、
山がちな日本の国土が育んだ神がかりな流通網の申し子、
すなわちコンビニエンスストアさんの力を借りて眺めの良い場所でいただいた。
コンビニさんはすごいぜ……感動的です。
本当に、コンビニがなかったら私たちの旅は一体どうなってしまうのかというくらい、
水分の確保と言い、トイレと言い、コンビニさんへの依存度が高い。

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  コンビニ無し・カーナビ無しの縛りで旅をしてみる、というのはどうだろうか?
  いったいどんな気分が味わえるのでしょうか……。
  20年前、30年前、40年前の旅とは、はたしてどんな姿をしていたのでしょう。
  残念ながら、その当時まだ子供だった自分は、本当の意味でのその姿を知りません。
  うちには車もありませんでしたし、そんなに旅行する一家でもありませんでした。
  じーちゃんとばーちゃんは旅行が好きで、さいさい出かけていた記憶がありますが……
  それでも最近母に聞いたところだと、出かけてもイイトコ近畿一円程度で、
  それほどの遠くへは出掛けない列車旅だったらしいから、
  そのような事情とは無縁であったでしょう。
  子ども心に、色んな所へ旅行に行っているなあと思っていましたが、
  旅行、というだけで「とても遠くへ行く」というイメージしかなかったものだから、
  たくさんの知らないものを見てきているのだろうと思っていたけれども、
  母に聞いたところだと、北海道へも行ったことはなかったはずだと言っていました。

  ちなみにこれから向かう忍野八海へは、
  ヨ氏がまだ幼かった頃に訪れたことがあるらしいのですが、
  彼がまだ10歳に満たなかったというから恐らく四半世紀ほど前のハナシ。
  今ほど自動車のさまざまなアシスト機能も充実していなかった時代に、
  道志みちや大菩薩ラインを使って旅をしたヨ氏の父君の世代のドライビング技術と車との一体感とは、
  今とは比にならないくらいだったのではなかろうか。
  閑話休題。

朝食を摂るため、ほど良く視界のひらけた場所にジェントル号を休ませ
雄大な裾を広げるおフジ山を眺めつつサンドイッチにありついていると、
土地の持ち主らしき御仁が辺りをうろつき始めたので怒られる前に退散を試みます。
そう、怒られる前なら違反でも違法でもありませぬゆえ(そんなルールはない)。

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デ、忍野八海に着いてみて、驚いた。
まだ10時を回ったばかりだっちゅうのに、なんでありましょうかこの人出は。
ザ・アクセスし辛い観光地100選で堂々第一位(※)に輝いた忍野八海さんだというのに、
人また人。

  ※オイサン観光研究所調べ。
  実際、富士山周りはクルマ持ってないとアクセスが非常に困難です。
  新宿からバスが出ていたりしますがイチイチ都心まで出るのもかったるく、
  それらのバスには途中八王子辺りから乗れたりもしますが、
  その乗り場がまた、町から外れた高速道路の途中みたいな場所で
  そこまでもクルマで行く必要があるみたいな場所デ本末転倒。

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その行きにくい忍野八海さんへも、
甲府からなら1時間チョイで着くことが出来てしまって驚いた……というのに。
時間的に、クルマを駐車場に入れられないという事態は回避できたが、
もう30分、否、15分遅ければそれもあり得たかも知れない、そのくらいの人の数でありました。

マこの日からGWさんも本気でしたので致し方ないといえばその通りなのですが。
お前らもっとヨソに行けよ(勝手)。

前にも少し書きましたが、
忍野八海さんの駐車場システムは民間の協力を得て成立しているようでした。
付近の民家の方々の敷地に一台おいくら(どうやら一律300円)で停めさせてくれます。
誘導もその家の方々がおやりになっているようでした
(もしかしたら当番制だったりするのかもしれないが)。

  けれども、
  あれだけ大量のクルマが押し寄せてくるとなると、周りの環境への影響も大きかろうと思う。
  騒音にしろ、空気にしろ。
  あと、危ない。道も決して広くはないし。
  お年寄りや子供が多そうなので、その辺どう思ってるんだろうなと、
  押し寄せた側の身でありながら少し心配になる。

    フーゾク店に行って女の子に「こんな仕事はよくない」と説教するオッサンのようだ。
    フーゾク店行ったことないけど。

  「駐車場は町のもっと大外にまとめて用意して、そこから先は歩きでないと入っちゃダメ」とか、
  整備出来ないもんだろうか?
  ……などとは、ヨソ者が善意という名の暴力で要らぬ浅知恵を働かせると
  ロクな結果にならぬのでクチが裂けても言わないが。書くだけ(屁理屈)。
  あの駐車場料金で結構な稼ぎを得ている古くからのゴーツクご老人なんかも多そうだし、
  余計なことを言ったら刺されかねない。
  長い目で見たらどっちがいいんだろうかね。
  あからさまな観光地化を整備をすることが良いとも決して思わないし。
  地元の人たちが「地元」であることを維持しながら、
  やれる範囲で必要なだけ進めていって、ダメになったらもう来んな!
  っていうのが正しい姿なのかもしれぬ。日本全国遊園地化は好きじゃない。

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マそんなオトナっぽい事情話はともかく。
水、景色。
驚くほど美しかったです。……そこから人を差っ引きたかったけど。
平日の早朝とかに、もう一度行きたいですなあ。
特に、中心の見どころである、水深8mだかの湧水池は神秘的で、
しかしちょっと、やはり遊園地化が、しかも「日本の古き観光地化精神」が進んでいて、
演出過剰・サービス過多な感じがちょっとあって……
なんでしょうね、「ドヤ感」は否めなかったように思った。
思い描いていたのとは、ちょっと違いました。
もっと自然なまま、放置され、のんびりした場所だと思っていた。
小諸の、弁天の清水みたいな。

あの辺り一帯には、恐らく富士のお山からの水がワンサカ湧き出ているポイントなのだろうから、
もっと端っこまで行って探せば、地元のヒトしか見ないような美しい場所が隠れているのだろう、
とは思う。
それを探しに、あの辺をブラブラするのは楽しいかも知れません。
観光の中心から外れていく流れていく小川の風景に、より心を惹かれたオイサンです。
あの小川沿いを散歩したかったゾイ。

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■2日目:忍野八海 名泉そば製麺所


サテ諸君。
お昼ゴハンの時間です。生存戦略しましょうか。

時刻はまだ11時を回ったばかりでしたが、
恐らくこのGWに日本で一番人が集中しているのであろうこの忍野八海(オイサン調べ)では、
目につく食堂らしき食堂、食べ物を提供する施設は既に人であふれかえっている。
比喩でなく、本当に人であふれかえっているのでした。
溢れちゃってもう、噴きこぼれて火に落ちて死ねばいいのに。
おっといけない、人ごみに晒されて心が荒み始めているぞ、スマイルスマイル。

朝メシのこともロクに考えられないダメな大人の我々は、
当然昼ゴハンのことなど何も考えずに来てしまっていました。
どこか適当に何か食べられる場所はあるまいか……と考え始めたところに、
我らがエースが鼻を利かせ始めました。
むむっ、どうしたヨ氏、なにか考えがあるのかね。

  ヨ氏「子どもの頃の記憶なんで、曖昧なんですけど」

ヨ氏がいうことには、
なんでも20年近く前に家族でここを訪れたときに行ったおそば屋さんがあるのだそうな。
その店は観光の中心地からはそこそこ離れていたので、
もしかするとそこならそんなに混まずに済んでいるかもしれない、という。
ウム分かった、他にアテのあるでなし、ここはヒトツその言葉を信じようではないか。
そもそもからして、我らが食い意地モンスター・ヨ氏を育てた素晴らしき血族が、
20年もの昔……食べログはおろか、まだホットペッパーもぐるなびもインターネッツすらロクにない時代に、
食い意地とすきっ腹と鼻だけをたよりに嗅ぎ当てた
店である、
ひいき目に見ても(間違った日本語)不味いハズはない。

  ……ホメてますよ? もちろんです。
  完全に褒めている。

そんなこともあって、ヨ氏の記憶だけを頼りに、村のハズレへ向けて歩き出した。
「こっちの方だと思う」
「プレハブっぽい建物だったような」

歩きながら、断片的に甦るヨ氏の記憶……
果たして自分に10歳の頃に訪れた観光地の記憶がどれほどあるかと言われると、
正直全く自信がない。

  10歳のころと言えば、家族で城崎(きのさき)に旅行をした記憶がある。
  しかしあるのはそれだけだ。
  なぜ城崎だったのか? 季節はいつだったか? 何で行って、何を見、何を食べたか?
  全く覚えていない。
  唯一憶えているのは、夜の旅館でトランプをし、
  負けて罰ゲームに正露丸を食べさせられたことくらいだ。
  城崎に皆で旅行をしたとして、「何がうまい?」「正露丸」ではシャレにもなるまい。
  まあ今なら、ブログに面白く書ける自信はあるが。
  閑話休題。

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クルマもすれ違えないような細い道をつらつらと歩いていくと、
突き当たった右手、富士山を背景に借りた手前に、なるほどそれらしい建物がある。
プレハブでこそないが、決して立派ではない、立ち食いそば屋のような建物だ。
あれじゃないっすかね、とヨ氏も半分ほど確信しているようだった。
すごいな。本当にあったぞ。
しかし残念ながら「空いているかも」という予想はハズレで中は満席、
2、3人立って並んでいるようだ……そして表の貼り紙の意味が俄かには理解できず、
三人とも「本当にここで食事ができるのだろうか」と、首をかしげてしまった。
何しろおもてには、

  ・ここは食堂ではありません。
  ・製麺所であり、そばをお土産として販売している店舗です。
  ・お買い上げいただいた方に、サービスとして麺を茹でて提供しています。


……といった旨のことが書かれてある。
これは果たして、どういうトンチであろうか?
中にはカウンターで席が10ほどあり、お客が座って、うどんと蕎麦をすすっている。
取り敢えず中に入ってみて、すこし情報を集めてみたところ、

  ・ここは確かに、食堂ではないらしい。
  ・製麺所であり、土産のそばとうどんが買えるらしい。
        それぞれそこそこの量が540円だ。
  ・お土産のうどん・そばを買った人だけが、
        カウンターに座ってうどん・そばを食べることが出来るらしい。


ということが分かった。
おk、ほとんど情報が増えない。お店の人の話を聞いていても、それ以上わからないのだ。

  ヨ氏「……アレじゃないですか、買ったお土産をここで茹でて食べられるシステムじゃないですか」

いいぞヨ氏、私もそう思っていたところだ。
いずれにしても、ここで食事を済ませるつもりなら、
どういうシステムであれあのお土産そばを買わねばならないというのであれば、
買おうじゃありませんか。
テ氏とヨ氏はどうやらおそばをひと箱、オイサンは太いうどんをひと箱買いました。
ひと箱、けっこうずっしりあるなあ。
おそば・細いうどんではどうやら200gずつ7束ほどが入っているご様子。

  ちなみに太うどんはサンプルがなかったため中の様子はわからなかったのですが、
  家に帰って開けてみると、束にはされずに箱一杯ギッシリと、
  野太いうどんが詰め込まれておりました。大した密度です。

買ったブツをそれぞれ手渡され……カウンターに座ります。

  ヨ氏「買ったのを茹でてもらえるんじゃないんだ?」

おいヨ氏、言ってたことと違うじゃないか! 困るぞそういうことじゃ。
実際食べてみて……否、ここで買い物をしてみて最終的に分かったことは、

  ・ここは食堂ではない。
    その証拠に、料理の注文をすることは出来ない(勝手に出てくる)。
  ・製麺所であり、そばをお土産として販売している店舗である。
  ・そば・うどんをお土産として買うと、サービスにそば・うどんを食べさせてもらえる。
  ・ここで食べられるそば・うどんは、お土産に購入したものとは別である。
    購入分はそのまま持ち帰ることが出来、それに+αして
    一人一人前(おそらくそば0.5人前・うどん0.5人前)を、茹でて食べさせてもらえる


……というシステムである、ということでした。
 ? ? ? ? ?
つまりなんだ、一人前買うと、一人前無料で食べられる、ということか???
それは奥さん、お店的にはワリカシ大変なことなのでは???
だってお店的には、一人前分のお金をもらったら、二人前商品が減るってことでしょ???
これには敏腕マネージャーのテ氏も首をかしげるばかり。

  「一体どういうマネタイズシステムになっているんだ」
  「誰がアグリーしたんでしょうね」
  「KPIはどうなっているんだ」

などと、意識の高い我々の間ではついうっかりランチミーティングが開かれ
ディープなディベートがビギンしてしまうのでありましたが。
「30年前からずーっとこんな感じでやってるからねえ」とは、女将さんのコメント。
まあ30年値段が同じってことはないと思いますが、どうやらそうらしい。
ヨ氏が、20年前にも自分はここに来ているはずだと言うと、
「あーじゃあきっと会ってるかもねえw」
と、こともなげにおっしゃる。まさか彼女が、甲府三人目の賢者なのか。

  「はい、喧嘩するんじゃないのよー」

と彼女は、
奥から、テ氏・ヨ氏・オイサンとカウンターに並んで座った我々3人の間に、
うどんとそばの乗ったザルをそれぞれ1枚ずつ並べていく。

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なるほど、これを3人で分け合って食べろということらしい。
そんな風にネタ振りをされたら、お答えしないワケにも参りますまい、
「お、そういうことならいっちょおっ始めますかw?」
と軽くうでをまくって乗って見せると、これまで出会った2人の賢者同様、
まあさすがソバ屋の看板娘と言いますか、つるつると滑らかに流れるトークを展開なさる。
  「あ、じゃあテレビが事情聴取に来たら私が応えよう。
   『最初は仲良さそうに食べてたんですけど、なんか急に殴り合いを始めて……』」

  「おお、こりゃメガネの一つも割らないと帰れそうにないですなw」
  「あ、これ、使わない?」
と出されたのは、このお店オリジナルなのか忍野ではメジャーなのか知りませんが、
薬味の唐辛子味噌。ワサビやしょうがじゃないんだ。
  「辛くておいしいんだけど、使わない?
    お子ちゃまだから? 辛いのだめ?」

……なんで、チョイチョイ煽ってくるんスか。
デフォルトで指がR2ボタンにかかってません?(わかりにくいたとえ)
ああ食ってやるよ! 辛いのなんか平気だよボクもうおとなだから!
とばかりにその唐辛子味噌をそばつゆに溶いていただいてみると、
これがまた何とも言えず美味しい。
これも売っているらしいので、あとで買って帰りましょう。

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……と、ここでもまあ色々と、なんだかんだおかしな会話に花を咲かせはしたものの、
やはり何よりインパクトを放っていたのは謎のビジネスモデルでありましょう。
お土産一つ分のお値段で、お土産と、おそば一人前がいただけてしまうリーズナビリティ(そんな英単語はない)。
店を出てからも、テ氏はしきりに首をかしげておられた。

  「あれで……成り立つんですかね?」
  「まあ……30年やってるって言ってますしね。成り立つんでしょうね」
  「ちょっと気になるから、向かいのソバ屋の値段見ていきましょう」

さすが、敏腕Pは市場リサーチも怠りません。
この名泉そば製麺所のお向かいにあるおそば屋さん、
あえて店名は伏せますが(調べたら一発じゃねえか)、もりそば一枚700円弱。
お土産が付かずにこのお値段です。
名泉そば製麺所さんは、お土産のおそばが、7食分入って540円、
それにおそばとうどんが合わせて一人前いただけてしまう……。
なんという価格破壊行為、
これでは明日にもMIB(麺・IN・BLACK)に目を付けられて、
姫ノ宮ざるそば(かわいい)ちゃんの様に拉致監禁されてしまうやもしれませぬ。

   『ざるそば(かわいい)』、MF文庫Jより絶賛発売中!
         
   とっても面白い!


まあまあくだらない冗談はともかく、そのくらいおトクで美味しいお店だったということですよ。
とりわけテ氏はご満悦で、食後のおタバコをふかしながら空を見上げて
  「いっや~……イミ分かんねえもんなあ……
   クッソうまかったなあ~……絶対もう一回こよ」

としきりに呟いておられました。

あ、料金システムのおかしさばかり書いてしまいましたけど、
おそばもおうどんも、とびぬけて美味しいです!!
素晴らしい歯ごたえにのど越し、ほのかな粉の香り。
つやっつやのもっちもちで、麺類は、ここまでなめらかになれる! 全米が茹でた! と、
もしあれが麺類ではなく美少女だったら求婚しているところです。
あぶないあぶない。
個人的にはうどんのインパクトが強かったですが、テ氏はおそばの方をお好みだったご様子。

あとを引く美味しさで……あのね、食堂じゃないのが惜しい。
おかわりや大盛りが注文出来ないだもの。
「お土産を買ったら、一人前食べさせてもらえる。サービスで」。
それが、名泉そば製麺所のオキテなので。
家で茹でても……やっぱりねえ、ああは行きませんでしたね。
おいしさにいたく感激して「いや絶対また来ますよ!」と口走るテ氏に、
  「あっはっはw でも、次来てもあたしもういないかもしんないしw
      いても、一か月以内じゃないともう、ホラ、忘れちゃうからw!」

と、どこまでも威勢のいいおっかさんでありました。
もう……ねー。
30年。
30年、ああして、富士山に見守られながら、そこのお水でおそばを茹で続ける暮らしというのは……
単調なようでいて、
変わり映えしないようでいて、
それなのに、想像を絶します。
そこに宿る時間の凝縮した壮大さに、なにやら軽いめまいを覚えるまだ目覚めきらない忍野の春ですよ。

まあイマドキ、普通に生きていれば30年くらいは同じことの繰り返しで過ぎていくのでしょうし、
あながち特別なことではないのでしょう。
しかしだとすると、これと同じことが日本中で起こっていることを思うと……
あらゆるの人生のあらゆる毎日が、貴重で偉大なことなのだと思います。
なんてことないんですよ?
なんてことないんですけどね。
けどそれを、淡々と、黙々と、
「あー今日も終わった終わったー」
なんつって、
来るともしれない明日を今日のうちに乗り越えてしまうような営みというのは……
なんでしょうね、
その明日をまだ知らない私たちには、明日へ向けて今日を生き抜くための、
大きなヒントであるような気も致します。
大きなうねりや変化もあったでしょうに、それを、グッとこう足の裏で地面にかみついてですね、
「いや、でも、今のままでいいんじゃね? 明日には元に戻ってるでしょ」
なんつって、罪もなく、あと一日、あと一日と積み重ねていく姿の、
なんと逞しく、強かでで、靭かなことか。

人生には同じ日は一日としてない、というけれども、
そんだけあったら2、3日は同じ日があるかも知れませんよね。
そんな気もしてまいります。そんな人生も、すごくいいと思うよ。安心しますよね。


■2日目:道志みち~道志村の温泉~旅のおわり


最後に忍野八海をぐるっと一回りしてジェントル号の待つ駐車場へ戻り、
またあのバア様の素晴らしいマニューバに誘導されて出発する。
ここから先は道志みちに乗っかって、首都圏まで帰ります。

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途中、道志村の温泉に立ち寄ってひとっ風呂浴びる予定。
昨晩はあまりしっかり湯に浸かれなかったので、そのリベンジを果たすのです。

道志みちは以前、湘南のシャイボーイの運転するクルマに乗せてもらい
パパさんと一緒に富士のふもとまで走ったことがある。
その時はあいにくの雨で富士山のお姿はロクに拝めずじまいだったのだけれど、
帰りの山の上では晴れて、夜空を移動するISSがよく見えた。

そんな、以前も走ったことのある道志みちだったが、
記憶していたよりも右へ左へ、ぐりぐりと車体を振り回されて
思いのほかトリッキーだったことを思い知らされた。
前半の牧歌的な風景の印象ばかりが強く残っていたらしい。

……。

これより先は大きな出来事もなく、
オイサンのたよりない案内でもどうにか道志村の銭湯に辿り着くことが出来、
湯に浸かって、すんなりと津久井湖へ抜けて帰り着くことが出来ました。

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たのしい道志みち。けど、こんなに大変な道だったっけかな。


道志の湯では、
以前あった一人用の露店桶風呂がどうやらなくなってしまったらしく残念ではあったけども
昨晩の仇を打つようにたっぷりと湯に浸かることが出来、
温泉の前を流れる渓流辺りで戯れて再び出発した。
ふむ、同じ山梨でも、このくらい富士や甲府から離れれば、仙人を生み出す謎の波動は届かぬらしい。
人は多かったが、これといって危険なオーラの人物に出くわすことはなかった。

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しかし、大変な旅でありましたよ、エエw

……どうなんでしょうね、コレをお読みの皆さんも、
旅行のたびにこんな色々、面白いメに遭うのでしょうか。
これが普通なのかなあ、と……不思議な思いに駆られます。
「これで合ってるのかな」と。
マどうってことないといえば、どうってことないんですよ。
多分。
観光地の茶屋でケッタイなバア様の世間話につき合わされて、
奇ッ怪なメシ屋で濃い味付けとたいがいな分量にやられ、
独特なシステムのよくわかんないソバ屋に迷い込んだ、
っていう……だけなのかもしれないんですけどね。
普通はイチイチそれに付き合って、
30分も話を聞いたりしないとか、
「……味が濃いな。あと量が多い」で済ませるだけなんだと思います。
ゲラゲラゲラゲラ、たくさん笑ったんだけども、
我々の、これらを楽しむ心が常軌を逸している部分もあるんでしょう。
同じ行程を辿ったって、不愉快になったり、イライラしたりする人も、きっといるでしょうしね。

路傍に咲く花をいかに愛でるか……そんな、ワンランク上の旅をご提案。

  マ我々の行く先々にはなぜか毎回、
  ラフレシアがガッバガバな匂い振りまいて咲いてるんだけどな。
  「くっさ!」「くっさww!なにこれww!」
  みたいな。

しかし、それを冷静になって振り返ったあとでも、
心に残る特別な部分が今回の旅にはあったと感じている。

50年、山の上で仙人やってるお婆といい、
44年、町なかで味の濃いハンバーグで人々をBigりさせてるご夫婦といい、
30年、富士山のふもとで謎の経済システムに則りおそばを茹で続けているおっかさんといい……
一体いつ、どこで、どんなタイミングで。
その時間を過ごす……人生を全うすると決めたのだろう。
その時間に納得がいくことを、どうやって確かめたんだろう……。

「これでよいのだ」と。

あんな道もあった、こんな恋もあったと、思うこともあるだろうに、
どんな手がかりや肌ざわりをもって、衰えた自分の時間をよしとしてきたのか。
何か筋道があったのか、気が付くといつの間にかそうでしかなかったのか。
ヒトの在りようとは、さりげなく自然であるようでなんと凄まじいものかと、
しみじみとオミマイされるオイサンなのでした。
実は人生なんていうのは、
否、
人生に限らずすべての時間というのは、
結果から逆さに流れているのかも知れません。
山梨・甲府という土地柄が、人をそういう風に育むのかもしれない。

あんなどっしりしたものに近くで見守られていたら、
何をやったってどうにかなる、なんてこころ安くおられるのかもしれないと、
トムソーヤーを育んだミシシッピよろしく、
初夏の雲にかすむ富士山を心によみがえらせるオイサンです。

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のんびりと、陽気に、力強く。
オイサンでした。
 
 
 
 
 

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2017年6月25日 (日)

■目を瞠るとき。~小諸、十四回目~ -更新第1130回-

アテもなく小諸へ行ってきた。
14回目。

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14回目だったか、15回目だったかあやふやになってきたけど、
珈琲こもろさんのノートを見たら前回の自分の書き込みがあって、
「13回目」と書いていたので今回は14回目なのだろう。GJ、今年3月の自分。

本当に、何をした、何をしに来たというわけじゃなく、
いつも通りやってきて、ボンヤリゆっくりして帰った、というだけの24時間でした。

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一つだけ新しい楽しみとして、町はずれの野菜餃子のお店に行くというのがありまして、
実際行ったのですが、えー、歯に衣着せずに言うと、イマイチでした。
落ち着かない店だった……。
ツッコミどころ満載ではありましたが、マあんまり楽しい気分にはさせてくれないというか。
じめっとした哀しみに包まれたお店でした。どんなんだ。

  マ一緒にいたご家族づれが鬱陶しかったってのもある。
  小さい子どもを連れてくるな! などとは申しませんが、
  子どもが「しつけられること」を了解しておらず、
  しつけ未満の家庭内不和を周りにまき散らさないとならない
  それは最低限解決してから表に出てきていただきたい。
  しつけをその場で実行するのは構わないので、
  しつけられたら子どもはそれに従う、という関係性はハッキリさせてから表に出ていらして?
  鬱陶しくってよ、祐巳。

初日の12時45分くらいに小諸に着き、
お宿に荷物だけあずけてキャンディライトさんでゴハンを食べ、
やたら混んでいた停車場ガーデンさんでコーヒーをテイクアウトして
弁天の清水へ向かったのが14時半くらい。

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弁天の清水で小一時間写真を撮って、飯綱山公園に登る頃には16時半を回っていた。
そっからまた小一時間ボンヤリと写真を撮って山を下り、
目当てのギョーザ屋さんに着いたのは18時半頃だったと思う。

ウームと思いながら店を出て、駅前に戻って珈琲こもろさんに入る頃には19時半近かった。
20時を少し回ったくらいで店を出て、ツルヤさんに寄ろうと思ったらもう閉まっていたので
まっすぐお宿に帰ったら、カクンと寝オチしてしまった。
そんなに疲れることをした覚えはないのだが。

帰りの新幹線は、軽井沢を14時前なので、小諸は13時には発たねばならない。
早朝からブラブラジョギングをするつもりだったのに
寝落ちして2時半頃に目を覚まし、そこから風呂に入って寝直す、
なんてトリッキーなことをしたもんだから、結局8時頃に起き出すことになった。自堕落。
チェックアウトして荷物は駅前のロッカーに投げ込み、
朝食は駅前の立ち食い的ソバ屋(座って食べられます)でいただき、その足で懐古園に向かう。
ちょうのんびり回ると、あっという間に(どっちだ)10時半。
そっからみやさかさんとツルヤでお土産を買って、再び珈琲こもろさんで軽くお昼ゴハン+お茶をいただき、
最後にふらっと、町屋館みはらし亭で山並みと町並みを眺めたら、もうサヨナラです。



……という、完全にいつもの定番コース。



2日目のお昼を、珈琲こもろサンにしようか、懐さんにしようか最後まで悩んでたけど、
コーヒー飲みたかったんでこもろさん。
次回は懐さんにしたい。ソースカツ丼なんてすばらしいメニューもランチに加わっていたようだから……。
そば七さん、ふじたさんにも行かなかったな。
マ1泊2日じゃゴハンの回数も限られるからのう……。

前回行かれなかったので今回は行こうと思っていた、田園見渡しスポットやダムも行けませんでした。
マそれをぶち込むと……時間キッチキチのスパルタンになっちゃうからねえ。
今回はのんびりしたかったので、無理はしませんでした。

しかしそんな、超定番コースだったにも関わらず、
案外、新しい発見をしたりとか、新鮮な視点を見つけたりとかがありまして。
なかなか納得の行く小旅行でありましたよ。

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新しい刺激や発見は、期待も、それに出くわすための仕込もしていかなかったので、
まあないだろうと思っており、
そのせいで、弁天の清水でひとしきり写真を撮り終えて一息ついたところで
フッと気が抜けてしまった。

「まあ今回は、ずっとこんなモンかな……」

という気持ちが鼻から抜けて行って、次は飯綱山公園の上まで上がろうと思っていたのだけれども、
そうして気持ちのハリが途切れてしまったら、
「じゃあここはおしまい、次」と、この場を離れて次へ行くキッカケを作れずにおりました。

どーしたものか、ここはもうおしまいにして良いものか? と、
水場を一度離れてコーヒーに口を付けておりましたところ、
湧水の吐き出し口の、アゴの裏に下がった苔から垂れ落ちる水の軌跡の美しいことに目を奪われ、
軽い興奮状態に陥ってしまいました。

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それからしばらくは、またそこにかぶりつきでカメラを構えていた。
しかしそうなると今度は、なかなかそこ離れ難くなってしまって、
4時過ぎまでとどまってしまった。水も汲まないのに何をやっているんだ。
人が少なくて良かった。

そこにいたる時間と行いのひとつらなりは、
自分の心身と時間をしっくりと繋いだ分岐点、接続点であったように感じている。

あのとき、あそこであの苔が目について、心がクッと持ちあがったことが、
それまでの時間と今こうして文字を打っている今の時間の流れをつないだ明らかなジョイントになっていて、
あのときとりあえずの惰性で休憩を取らずそのまま山へ向かっていたら、
今の自分は、今とは明らかに違う今にいただろうという確信が、今回は強くあります。

  マその「今とは違う今」が、今より良いか悪いかはわかりませんけれども。
  変わんなかったかもしんないし。

その時、吐き出し口にアゴヒゲみたいに垂れていた苔が目についたのは偶然なんだけども……
いやあ、「偶然ってこわいな」と、あとから思うとつくづく恐ろしい。
アレが無かったらその先の時間にあった出来事も、どう転んでいたかわかりません。
「苔が目についたこと」は、自分が用意したわけでもないし、
積み上げてきたモノゴトによって必然的に導かれたわけでもない、
ひとえにポッと出の事実が飛び込んできただけの瞬間だったから、狙いようも避けようもありませんでした。

なんでもない風景にうずもれた、ただ水の滴るだけ苔が一つ目に入るか入らないか、
たったそんなことで人の暮らしはこうも変わるものなのだということを
今回は実感しました。今回の旅は、そのことに尽きました。

そのあとも、見慣れた風景の中で新鮮な発見が続きました。

飯綱山から見下ろす風景でも、今回は北側の浅間山より南の町側の方に心ときめく、
心惹かれる美しさを感じ、
町なかにある水田に水が張られ、澄んだ光を鈍い色で照り返しているのに目を引かれました。
町がいつもより近く、広く見渡せた。
小諸は、町なかにもビューポイントにも木がよく茂っており、
視界も、見渡す中にも季節によって視界が大きく変化するので
あまり来たことのない時期に訪れると景観が一変して新鮮に映る。

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楽しみにしてきたギョーザ屋はイマイチでそれは残念でしたけれどもが、
そこから町への帰途に使った道は通るのが初めてで、
これまで通ってきた道と思わぬところで繋がっていたり、
見たこともないトンネル……これがまた、奇怪な怖さを持ったトンネルだったのだが……をくぐったりして、
あの苔との遭遇以降、幸せな出会いが続いた。
よく見知ったはずの道のわき、弁天の清水の裏手に小さな公園があることを初めて知ったり。
単純に、気持ちがそういう風に向いただけなのか、実際におかしな扉がひらいたのかは分からない。

  まフツーに考えれば「おかしな扉」なんてものは存在する筈もないファンシーイマジネーションで、
  目線を引いて見れば、
  全ては人間が「そこにある物に対して、そうある様に」行動しているにすぎないのは明らかなのだけど、
  果たして客観が先にあるのか、無数の主観が絡み合うのが先で
  そこから客観・客体が生まれているのか……それはまだワカラン気がする。

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2日目は、惰眠を貪ってしまったせいで懐古園を回るだけで精一杯になってしまった。
特に新しい発見があったわけでもなかったがけれども、
自分の視野がやけに広く、風景が新鮮に見えた。
これは気分的な話ではなく、実際の目に見えている認識範囲の話。
いつもより広く、風景が目に入ってきていた。

もしかすると、
「普段も目のレンズには同じだけ映っているが、それを映っているとアタマが認識・処理できてないだけ」
かも知れないので、気分・コンディション的な違いなのかもしれないけど。

なんなんでしょうね。
季節のせいなんでしょうか、空気の透明度がとても高かったように感じ、遠くの方まで……
ただ単に、「晴れて、澄んで、遠くが見えた」というのとも少し違って、
「遠くが見えて、さらにその細部まで、精細に見えた」気がしている。
遠く・深くが見えた感じ。
カメラのピントが合う距離の範囲のことを被写界深度と呼びますが、それが深い感じに似ている。
かつ、平面的に感じない。

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そのせいかはわからないけど、いつもよりゆっくり回ってしまったようで(いつもより時間ないのに)、
1時間半も園内にいたようです。
それでも、気持ち的にはもっともっといられるのを慌てて出てきてしまったのですが。

……そんなこんなで、なんでしょうか、自分で言うのもなんですが、
大変澄んだ瞳で過ごせた2日間だったような気がします。
その分、とてもボンヤリした2日間でもあったけど、満足感、充足感はあった。
ピンと来た時間ではありましたよ。エエ。
不思議と。
何かを追い求めていなかったから、見つかったものそのままを納得出来た、
というのはあるかもしれません。
それでいいのか? と言う人は言うだろうけども……
それはそれで、大事なことだと思うオイサン、42歳になろうとしている初夏であった。

ザ・初夏。

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以下、時系列順に
それぞれのスポットで起こったことを書き留めて終わりにする。



■全般
あのね、小諸寒かった。
来しな、軽井沢で新幹線からしなの鉄道に乗り換えるときに結構な寒さを感じ、
そのときは半袖を着ていたので、これはアカンなと長袖に着替えてどうにか乗り切れる気持ちでいたのだが、
日が傾き始めると最早上着がないのが不安なレベルで冷えてきた。
信州、侮れぬ。
あとでキャンディライトさんやみやさかさんで聞いたところによると、
ここ数日は風さえなければ霜が降りても不思議ではないくらいなのだそうで、
広報アナウンスでは畑に霜対策をせよ、と注意がかかるほどだったらしい。
珈琲こもろのマスター曰く、雨が降るようになればもっと冷える、とのこと。
東京みたいに、雨も降らないのにじっとりと湿気に苛まれるようなことはあまりないのだそうな。
「伊達に避暑地じゃないよね」という一言が、妙に印象に残っている。



■キャンディライトにて
サービスメニューのBセットに夏野菜カレーがあったので、それを注文してみた。
Aセットが「アジフライ+焼肉」だったのでものすごい悩んだ。
デこれである。

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決して「カワイイ」と呼べるシロモノではないと思うのだが、
あとから入ってきたJK二人の片割れが同じものをたのんで、
「かわいいー」とケータイでお写真なぞ撮っておられ、オイサンは大層肝をつぶした。
さすが小諸のJKはイカレたセンスしてるぜ(失礼)。
相方のJKもなかなか奮っておられ、

  JK「この、『カツ重』ってどんなんですか」
  マスター「……カツ丼って知ってる?」


という、一見コブラと悪役の様な小粋トークをぶちかましていてオクラ吹きそうになった。

  海賊酒場のマスター「見ねえ顔だな、よっぽど田舎の宙域から出てきたのか?」
  コブラ「実はそうなんだ。マスター、このカツ重ってのはなんなんだい?
      オレぁ生まれてこのかたカツ丼しか食ったことがねえ」

……みたいな(そんな会話があるか)。
このJKお二人は、嘗ては小諸近辺で暮らしていたのが小諸で再会した、
的なシチュエーションであったご様子で、会話を聞いててなかなか味わい深かった。

あと、カウンターの奥に賞状が貼ってあるのには前から気付いていて、
衛生認定証的なモノか、そうでなくても料理コンテストとかそのテの類のモノだろう、
と何となく勝手に思い込んでいたのだけど、
書いてある文字列に違和感を覚えてよく見てみたら、駅伝に入賞したときの賞状だった……。
3位と5位。

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なんでそれを貼ったんだ。
あと、本棚の『こち亀』27巻がかぶってた。
かつて客同士で27巻を取り合ういざこざでもあったのだろうか……。



■停車場ガーデンさんにて
小諸へ来ると、毎度、動き出す前(今回は山方面へ向かう前)に
この停車場ガーデンさんでマグボトルにコーヒーを買っていくのだが、
今回はどうしたことかものすごい満員でえらく時間がかかってしまった。
マそもそも人気の高いお店なので結構待つことも珍しくないですけども、今回は特に。
オサレなお店ですし、女子でいっぱいです。

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尚、コーヒーといっしょに必ず手焼きクッキーも買っていくのだけど、これがまた絶品です。
味の種類は、紅茶味とかチーズ風味とかいろいろあるけど、
オイサンはスタンダードなシナモン風味が好き。
山のてっぺんで一人コーヒーを飲みつつ頂くのが最高です。
乙女か。山ガールか。


……( ゚д゚;)……ハッ!


いま、恐ろしい推論をひらめいてしまった……。
ここなちゃんに会おう会おうと思って飯能へ何度か足を運びながらも、
ついぞ出会ったことがない、その影を捕まえたことすらないのだが、もしや……
俺自身がここなちゃんなのでは……!?
それならば会えないことにも納得がいkおや誰か来たようだ。
まあそんな、ここなちゃん&ユイオグラファンから殺されそうな冗談はサテオキ、
実はこの日、飯能では『ヤマノススメ』ファンミーティングイベントが開催されておりまして
(小諸現地で知った)、
『ヤマノススメ』のOVAとその劇場上映、あとTVアニメ3期放映が発表されておりましたとさ。
おおめでたい。
小諸関係ないけど。


……。


小諸をひとりブラついていたらお忍びで巡礼に来てた阿澄佳奈とバッタリ出くわしたりしないだろうか、
などとアラフォーらしからぬ都合の良い妄想をコチトラ楽しんでいたというのに、
地に足の着いた当の阿澄さんは飯能でせっせとお金を稼いでおりましたとさ。
トホホのホ(何がだ)。



■弁天の清水にて
いつもはひっきりなしに、水くみの車が訪れては去り訪れては去りするのだけども、
今回は、人はそれほど多くなかったな。時間帯のせいもあるのだろうか。
オイサンが見たのは、
着いたときに始めからいたバーサンと
気合の入ったジーサン(3Lくらい入りそうな、焼酎のボトルみたいなの30本くらい汲んでいた)、
遊びの途中でやってきた、年が2ケタに上がるか上がらないかくらいの少年5、6人、
あとは業者っぽい、ごついポンプを積んだ軽トラのおっさんくらいだった。

少年たちは顔洗ったり水飲んだり、わーっとやってきては
「公園で遊ぼうぜ!」と5分もいないで走り去ってしまった。
いいねえ、近場にこんな場所があって。

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最初のバーサン・ジーサンもなんだかなーな二人で、
二つある注ぎ口の、やたらと勢いのある方を使ってたバーサンが、
ジーサンが汲み終わったボトルを運んでいる隙に彼の使っていた勢いの弱い方を
なぜか使い始め、
「……そこ私が汲んでんだけど」
「2本だけだから」
という、非常にもっちゃりしたやり取りだけがあって、なんか居心地が悪かった。
なんだよ、「2本だけだから」って。面白えなチクショウ。
マ確かに、勢いある方は水勢が強すぎて汲みにくいんだけど。
ヘンな人間模様である。



■飯綱山公園にて
いつもは、山の一番奥まで歩いたところにある山頂の広場からの眺めが一番良いと感じるが、
今回改めて見てみると、高原美術館の裏手の駐車場から見る浅間山も近くて迫力もあり、
CGめいた非現実感が大変よいな、と思った。
また上でも書いたが、今回は南側、町の方の眺めが大変良かったと思う。
町も山もいつもより近く感じたのは……なぜなのか分からない。

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■駅前そば屋にて
年輩のスーツおじさんが、東南アジアげな若者とずっと英語でしゃべってた
どういう関係だったんだろう。

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■おみやげのみやさかにて
買い物をして、実家に送りつけるための伝票を書いている途中のおやつ(毎回出てくる)に、
今回は、ご自宅の晩ゴハン用に茹でたという枝豆をお出し頂いたのだが(なぜだ)、
これがまた美味い!
何の味もつけていないというのに驚くほど味のある豆で、名物にならないのが不思議なくらいだった。
名前忘れちゃったな。なんかちょっと変わった名前を教えてもらったんだけど。
以前、新潟出身のテ氏に、新潟名産のダダ茶豆をいただいて
それも驚くほど美味しかったのだけど、タメをはるおいしさ。

しかし……なぜ私は、みやげもの屋でヨソんちの晩ゴハン用のお豆さんをいただいておるのか。
この調子でいくと、次回はいよいよ夕ご飯に招待され、
その次はお風呂を借りて、
しまいには泊めてもらえるんじゃないだろうか。すみませんね奥さん。
ところで、オイサンはみやさかさんで売られている中でも、
この「焼きはや甘露煮」がグレイトにオススメ
大変おいしい。生臭さもなく、クセもない。

ホロホロに崩れるくらい柔らかく煮込んであり、
ちりめんじゃこの骨でも喉にかける(本当)我が家の母でさえ
「頭から食べても何の問題もない」と評するほどである。
同じラインナップに鮎もあるのだが、オイサンはこっちのが好きだった。

  仕入れをご希望で手渡し可能な方は、事前にご注文いただければ
  オイサン買ってきますよ。別に通販ページで買ってもいいけどw(そっちのが早いだろ)

デ、そんな話をしたら
「そうなんですよ、これ美味しいんですよね!!」
と、お母さんからも、大お母さん(お婆ちゃん)からも満面の笑みでリアクションが。
野沢菜の話を訊ねると、夏場は違うのを扱うことに今回から試してみていて、
これも美味しくて……と、商品の研究にも余念がないご様子……なのだが、
どれの話を聞いても「美味しい」とかキチンと感想が返ってくる。
……一体自分とこの店のみやげもの、どのくらい自分で食べてるんだろう。

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■ツルヤさんにて
地元信州に展開するローカルスーパーのツルヤさん、
テ氏の奥方がここのおやきが大好物なことで全国的に有名ですが(そんなことはない)、
「ツルヤオリジナル」というプライベートブランド商品を、チョイチョイ展開していらっさる。
いままでは、そのおやきとか(これは別にPBじゃないけど)、
ドライフルーツ(とくにやわらかリンゴ)とか、謎のレモン風味ポテチ(一風変わってるけどクセになる)とか
くらいしか買っていなかったのだが、
「店内しっかり歩き回ったら、もっといろいろあるんじゃないか?」
と思いついて、今回いろいろな棚を探して回ってみたら……あるわあるわ。

お菓子をはじめ、ドレッシング的なものから、お出汁、味噌汁、スープ、農産乾物、びんづめ、缶詰、
ふりかけやらなんやら。
そんなんで、目について気になった物を色々買ってしまった。
あんまりかさばらなくて軽い物ばかりだけど。
しばらくはこれで楽しんでいく所存です。

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マそんな感じでヒトツ。

しかしワタクシ、曲がりなりにも『あの夏で待ってる』の巡礼がらみで小諸を訪れているにもかかわらず、
公式聖地であるところのみまき大池にはまだ行っていなかったことを思い出した。
マ歩きではなかなかアクセスし辛いところにあるのですけれども、
どうやらそこからもなかなか美しい眺めが拝めるようなので、
次回行くときはそこを目指そうかなと、それっぽいことも言っておきましょうか。



オイサンでした。
 
 
 

   

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2017年6月21日 (水)

■裾野に根付く~甲州・昇仙峡ぶらり旅・その三~ -更新第1129回-

2017年のGW、オッサン3人で行く甲府・昇仙峡と忍野八海の旅。
第3回……ようやく初日の午後だよ……
まあ今回は前半に色々集中してて、後半はひとえにまったりしていくばかりなので。


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ホテル菊富士の庭にて。



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■■■━ 1日目 ━■■■
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■1日目:甲府市街 ホテル「菊富士」、そして「ひなた」へ



時刻は14時を過ぎた。駐車場で一休みし、イザ、町へ戻って昼ゴハンを。

昇仙峡と町をつなぐ道もなかなかにワインディングでしたが、
くだりは特に、雑木のすきまから甲府の町越しに富士山の勇壮な姿を臨むことが出来て見応えがありました。
マここまでくると富士山は、よっぽど邪魔者のあるアングルでもないと
大抵見られるのでいい加減飽きてはくるのだが。

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関東に越してきてびっくりしたのは、意外といろんなところから富士山がみられてしまうことだった。
関西に住んでいると、富士山なんか「あるのは知ってる」くらいで
全然遠い存在ですからね。
せいぜい東海道新幹線の窓から臨むくらいのモノで、日常からはかけ離れている。

そんな、非日常的なものをマイニチ当たり前みたい眺めて暮らしているから……
こんな突拍子もない人間が、あっちこっちで発生してしまうのかもしれません、甲府!
甲府、驚異の三賢者の二人目(厳密には二組目)は……人里を遠く離れた仙人郷ではなく、
人の世界、まちの暮らしの中に潜んでいました。



テ氏の予約した宿は「ホテル菊富士」。



甲府駅から、徒歩でも15分ほどの好立地であるが……そのお値段、なんと一泊3200円。
まじでか。
富山の魚津スカイホテル、銚子のホテルニュー大新につぐ歴代記録のお値打ち価格ではあるまいか。

ただ如何せん、テ氏いわく、

  「宿の場所が、マップ上じゃ分からないんですよー。ディーンとしか書いてない。
    宿の名前はディーンじゃないのに。ディーンしかないの」


と、宿を予約したテラジさんがディーンディーンうるさい。
なるほど、確かに地図上ではディーンが目立つ。





しかし、一旦車で宿近くまで行くと、ホテル菊富士は案外すぐに見つかりました。
駐車場も、ちょいと狭いがすぐ前。便利。
着いたのが15時前とチェックインにはまだ少し早かったので部屋には入れず、
一先ず車だけ置かせてもらい、腹がいななきよって仕方ない二人と
宿から歩いて15秒、走れば5秒のところにある食堂「ひなた」へ向かいました。
さあ、腹減ってるんだろ? たらふく食えよ。
しかしその店構えを見て、二人は口を揃えてこう言いました。

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「オイサン……ここ、よく一人で入りましたね。勇気あるわ」


……うむ。今は自分でもちょっとそう思う。
残念ながら、店先をしっかり捉えた写真はないので、
店内の写真を見てもらい「大体これと同じ」と思ってもらえれば良いです。

蛮勇である。

別に、その時は面白いから入ろうと思ったわけでもないし、
「やべえなこりゃ……へっへっへ、腕が鳴るぜ……」と決意して飛び込んだわけでもなく、
「まあ、ココだろう」と思って入っただけなのですが、
改めて人から指摘されるとちょっとコレはどうだろうな、と思わされる。
オイサンが独りでいるときの判断というモノが、如何ほどの常軌の逸し方をしているか、
なんとなく見せつけられてしまった気がする。
今後気を付けよう……否、気を付けない方がいいのか?
別に死ぬ思いをしたワケじゃなし、今のままで良いように思うな。

  すぐ隣がガストさんだったのも、逆に奏功したのかもしれない。
  「さすがにここまできてガストはねえわな」と思ったので。
  なんとなく2択が成立したのだろう。マけがの功名というやつである(ケガ扱いかよ)。

オイサンが既に潜入調査済みである、ということを知っていても、
お二人の腰はまだ若干引けていたように思う。
何せお二人は、今日一日、大切に大切に空腹を育てていらしたのであるからして、
その蓄えに蓄えた空腹を、生半可なメシで満足させたくないという思いもあるのであろう。
その情熱、分からないではない。
正直を申せば、その情熱に『ひなた』のメニューがお応え出来るかどうかに確信もなかった。

だから包み隠さず、車中でこのようにお伝えした。

「決して飛びぬけてウマイってワケじゃないです。まずくはないですよ。
 味はフツウ。普通です、ふつーですけど、フツーの人が油断して入ったら
 色々コミで結果マイナス評価になる系のお店です」

多分間違ってはいないと思う。
そして、店を出た後のお二人の反応から察するに、間違っていなかったと今でも思っている。
そして我々は……フツーじゃないのか、色々コミで、プラスで終われたのだとも思う。

もしかするとお二人は……空腹に余裕があればここは避けたかもしれないな、と、
入る前の腰の引けっぷりを思い返すに、察するところがある。
「よく一人で入りましたね」と、3、4回言われた気がする。
しかしもう彼らものっぴきならないところまで来ていたんじゃなかろうか、
今からほかの店を探すゆとりもなく、テ氏が扉を開いた。

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まあ、内装にやられますよね。

九龍城か。

あと、本棚に揃えられたマンガのラインナップにやられる。
オイサン・テ氏の世代には、かなりツボを押さえた品ぞろえに見える。
しかし我々は、九龍城に遊びに来たわけではない、メシを食いに。腹を満たしに来たのだ。
メニューを選ぼうじゃないか、さあさあコレだ、
この一昔前のカラオケの選曲本みたいな厚さの本がメニューなんだぞコノヤロウ。
選べ?

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お写真提供:テ氏

このパートなんとかって書いてあるのに惑わされるな、
ほとんどそれはページ数みたいなもんだから!
そこへ、注文を聴きに来てくれたのか? お店の旦那さんが通りかかる。

  旦那「そのパートメニューってのはね、
       メニューの前の方にあるレギュラーのメニューを組み合わしたやつだから」


  テ氏「オイサンwwwww説明が間違ってるじゃないですかwwww」

  弊社「オウフwwwwすまぬwww知ったかであったwwwwフォカヌポゥ」

  旦那「そんで、組み合わした値段から、400円引いてあるの。オレ計算できなくてバカだから」

  ヨ氏「自虐wwww」



どうですかこの、一瞬のトークのキレ。
ついでだ聞いてしまえと振り返ると、旦那さんの姿はない……どこへ消えた?
この「面白丼」ってなんなのか聞きたかったのに……と思ったら、トイレから出てきた。
注文をとりにきたんじゃなかったのか……。

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  弊社「この『面白丼』ってのはなんなんです?」
  旦那「それはね、面白丼って名前だけど作ってる方は面白くないんだよ


そんな情報は求めていない!
旦那さん曰く、色々乗っかり過ぎて、利益率が悪いという事らしいが、
それは他の、パートメニューなども同じことの様だ。
尚『面白丼』、色々と乗っていることを説明してもらったのだがホントに色々過ぎて
何が乗っているのか殆ど失念してしまった……せっかく聞いたのに。
唯一憶えているのは、旦那さんが最後に言っていた「目玉焼きが3個乗っている」ということだけだ。

しかしもう、このトークのキレだけで相当やられてしまった我々ちゃんは、もうすっかり夢見心地。
大量のメニューから、各々苦慮して厳選したお料理を注文すると胸を躍らせて到着を待った。

お二人とも空腹が酷いらしく、
ワリと盛りメのチョイスにアディショナル(追加オプション)を加えたらしいが、
大丈夫だろうか?
このお店、デフォでバカみたいに大盛りなワケではない。普通に食べられる。
ただ、サイズ設定の名付けが独特で、

 無印(普通) < Large < Bigり(ビッグり) < 超Bigり

……とか、シレッと書いてあってびっくり……否、ビッグりする。

また名称だけではなく、ノーマル以上の設定を注文すると
量のアップ幅は大きいので注意は必要……なのだが、まあ2人ともツワモノだから、
それほど問題にはならないだろう。

時代物の14インチブラウン管テレビからは、殺人事件モノのサスペンスが流れている。
前来た時も刑事ドラマ流れてたなあ……店の奥さん、空いた客席の一つに座ってガッツリテレビ見てるけど、
まさかアンタ、お気に入りのドラマの録画を流してるんじゃあるまいな?

待つことしばし、

  奥方「パート16(じゅうろく)の2はどなた?」
  ヨ氏「ぼくでーす」
  奥方「パート12(じゅうに)の、カニクリームコロッケ4個追加は?」
  テ氏「あ、私です!」
  奥方「パートテン(10)は?」
  弊社「……。え? あ、はい」

なんで「10」だけ「テン」なんだ。一瞬わかんなかったわw
ちなみに「パート16の2」というのは、
「レギュラーメニューにある何かしらの肉を焼いたものと何かしらの揚げ物を組み合わせた
 (チキンカツ+ハンバーグ など)パートメニュー16番に、
 何かしらのオプションバージョン2が付加されたもの」
であり、これが大体、パート20くらいまである。
テ氏がコッソリ

  「パート16の2って……『ファイナルファンタジーX-2』かよ……」

と呟くのを、私は聞き逃さなかった。だってオイサンも同じことを思ったから。

  弊社「パートⅣとⅨはないんですね?」
  奥方「シとクは抜いてるの」
  我々「(そこは普通にゲン担ぎなんだ……)」

テ氏はハンバーグにカニクリームコロッケ(×6!)を増量+ゴハン大盛り、
ヨ氏は焼き肉に焼きチキン増量(×2)+ゴハン大盛り。
よほど腹が減っていたのだな……。

 「オレ、カニクリームコロッケなら
                無限に食えると思うんスよ」


と、百万石の領主におさめられた年貢のごとく皿に積まれた
6個のカニクリームコロッケを前にフラグ立てに余念のないテ氏を最終的に見舞ったのは、
2度目の「大好きだったものをキライになりそうになる」瞬間だった。
だって最後の方、明らかにしんどそう、というか、
おハシで転がして食べるのをためらっているご様子でいらしたもの。

まあ……いっこいっこ、味が濃いんですよねw
そして、本来箸休めになるはずの千切りキャベツがみるみるその濃い味ソースを吸い込んで、
濃い味に疲れてキャベツに手を付けたくなる頃には
キャベツさんもすっかりそちら側に染まっているという、2重3重にからめとってくるワナ。
甲府のヒトの好みなのかしら。
甲府のヒト、血圧高いんじゃない? でなきゃあんなにしゃべれないと思うわ
(※偏ったサンプルに基づいた感想です)。

オイサンは……大盛りにしたりしませんよ。ええ、しませんとも。

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おいしそうでしょ? そうでもないんですよ ← オイ

店を出たとき、テ氏も、そして真に無尽蔵の胃袋を持つヨ氏までもが、
若干体を重そうにしていたが印象的であった。
うーん、すきっ腹の詰め込んだのが苦戦のもとだろうか。
普段だったら、そこまで苦戦するような物量ではなかったと思うんですよね。
マ味は確かに濃かったかも知れないけど。
昼ゴハンが15時近くまでずれ込んで、胃の縮こまったところにブッ込んだのが苦戦の主因か。

  ※ しかしここまで読んでいただいて皆さんお気付きの通り、
  ※ 別にね、遊び心がひどい店でも、何かのタチの悪い店でもない、
  ※ 色々天然なだけの極めて良心的なサービスのお店なのです。
  ※ 強いていうならそう、無邪気。
  ※ ひなたは今日も無邪気なサービス精神で、皆様のご来店をお待ちしております。



■甲府の夜と、再びホテル「菊富士」



さあ腹も一杯になってしまったら、あとは宿に帰ってぶっ倒れて眠るだけ……
というワケにも参りませんし、大体お前まだ夕方の4時だぞ。
大人なんだから、旅先の夜にはまだまだやることが残ってるだろ?
オトナの遊びがよ……ウヒヒ。
そう。
テ氏御用達の模型店に行って、……なんでしたっけ? やすりの、何千番だかを買うんでしょ?

なぜかアラフォーモデラーテ氏にはこの甲府に行きつけの模型店があって、
今回は奥方から、そこで何らかの塗料と2000番のヤスリを買ってこいと指令を受けているらしい。
まあテ氏からしてみれば、甲府なんてのは近所みたいなもんですから、
近所の美味しいラーメン屋でラーメンを食べて、その帰りにヤスリを買って帰ったりされるわけです。

そんなわけで、なかなか気難しそうな親父がムッツリとカウンターに陣取った、
模型店「ホビーショップイチカワ」にて買い物をすませ、
さあ軽く飲みものでも買って宿へ帰

  ヨ氏「お、クムーリ(*1)売ってる! 食べましょう!」

     うちのチームではソフトクリームをクムーリと呼びます。
     たまに間違ってムクーリという人がいますが間違えすぎると破門になります。



食うんかい! どないなっとんねん。さすが我らがエース、すげえな……。


 テ氏「食べましょう」


……。うちのチームは層が厚いなあ……
ボカぁ、あっという間に2軍に落とされてしまうよ。 ← 食べなかった人
なお、ヨ氏はクムーリの他に大判焼きを買って帰って夜食にし、
エースとヒラの格の違いを見せつけていました。

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こうふ です。 どうしますか? ボス!


宿から目と鼻の先にある地元のスーパーで飲み物を買い、宿に戻ってチェックイン。
すると、宿のおかみさん(※この人は今回地元で関わったショップ関連の人材で唯一マトモ)から
衝撃の一言が。

  「お部屋ははなれになりますねー」

これがそのはなれです。

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マーガレットの咲き乱れるお庭付きの別棟。どうです? メルヘンでしょう?
平均年齢・約40歳のバラ色ダンディ3人組が愛を育む(育みません)には最高のロケーションです。
ちなみに二部屋あって、もう一室は別のお客さんが来られるご様子。
あのね、このお宿、めっちょ安いんですよ? それなのにこの所業。鬼です。安さの鬼。

中も大変広くてお手入れも行き届いており、なんら不満はありません。
しかしこの日は天気も良く、ちょっと暖かすぎるくらいだったので、
ちょっとだけお部屋を冷やしましょうかね。
エアコンのスイッチをぽちっとな……。
……。
寒くね?
あまりのエアコンの威力のおかしさに気付いたヨ氏・テ氏が天井を見上げるとそこには、


……エアコン、でかくね?


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なんとそこには、映画『インディペンデンス・デイ』に出てきた異星人の
母艦UFOほどもあるエアコンが!!
まあそれはオオゲサっていうかただの嘘ですが(日記にうそを書くな)、
嘗ては大きなアミューズメント施設の長でもあったテ氏いわく、
「ちょっとしたデカ目のゲーセンにあるやつ」くらいのエアコンらしいっす。
ちょっとONしただけでもう寒いのなんの。

「この宿も、一見マトモなフリをして見えるが、
 実はおかしなところで牙の剥き方が斜め上なのでは」

と、我々調査団の間に緊張が走るが……クッ、なんだこの、異様な眠気は!
まさかさっきの食事になにか……ZZZ  ← 食いすぎ

ヨ氏はいつも通り、部屋に着くなりなんの抵抗もなくフトンに滑り込み、
なんだかんだ言いつつテ氏・オイサンもそれに続いて横になると、部屋はもう横になり祭り。
買い物を終えて帰ってきたのは確か5時くらいだったハズでしたが、
それから8時くらいまで……3人は無抵抗主義を貫いたのでした。


……。


実はこの日にもう一つ、
ホビーショップではないテ氏の行きつけであるところの飲み屋さんで、
夜は一献酌み交わそう、という目論見があったのですが、
如何せん、3時間ばかり無抵抗でいても、ひなたでやられたダメージが抜けきらない。

  そう、当初の予定であれば、夕方からそこに入ってゆっくり舌鼓を打とう、
  などと寝ぼけたことを目論んでいたその店である。
  誰だ、そんなあまっちょろいことを考えていたのは! 調査任務を何と心得る!

しかしまあ、せっかくなので一杯だけでもということで、
宿の風呂が閉まる22時には戻って来られるように20時をナンボか回ったころに繰り出した。
店はほぼ満員ながらかろうじて3人座れる席を確保、小一時間ばかり酒を酌み交わし、
今日我々を襲った恐ろしい出来事の数々について振り返っては互いの無事と健闘を喜び合ったのでした
(訳:何を話したのかあんまり覚えていない)。
出てくるお料理は大変おいしかったのをよく覚えている。
すじ煮と卵焼きだっただろうか。

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駅前に鎮座する、信玄公の像(ようやく甲府っぽいの出てきたな)


宿に帰ると風呂はもうボイラー切られるほとんどギリギリで、
ものの10分ほどで浴びるように湯に浸かり(間違えた表現)……
その後、なぜ部屋がジャパリパークになってしまったのかが思い出せない。
なんか色々とコンテンツの話をしていたように思うのだが、
そこから『けものフレンズ』の話になって、
ヨ氏の手持ちライブラリから、未視聴だというテ氏にキモの部分をご紹介したのだったと思う。

  なんか最初に『日常』をご紹介したときも似たような流れであったように思うが……
  マそんな感じだ。あれは魚津でであった。

そんなこんなで甲府に突如出現したジャパリパークの夜は更けた。
たーのしーい。


というところで再び小休止。
あとは、忍野八海でソバ食って、道志村で風呂入って帰るだけだよ。

オイサンでした。
 
 
 

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2017年6月19日 (月)

■裾野に根付く~甲州・昇仙峡ぶらり旅・その二~ -更新第1128回-

2017年のGW、オッサン3人で行く甲府・昇仙峡と忍野八海の旅、第2回。
まだ1日目の午前中なんですけども。
なんでここまでがこんなに長くなってるんだ?

さて初日の午前中に、早速旅のクライマックスが来ている辺り、
今回の旅は出し惜しみナシのご様子です。



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■■■━ 1日目・その2 ━■■■
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■1日目:昇仙峡 パノラマ台~茶屋「賢者の庵」にて(※)~
               ※実際はそんな名前じゃありません




ところで、この山の上にはお店が大きく2軒あり、
1軒はロープウェーのりばに隣接した、小ぎれい&シャレオツないかにもイマドキの観光客向けの顔をしている。

そしてもう一軒……
絶景ポイントをひとめぐりしてもといた広場へ帰ってくると、のりばから少し離れた、
山頂神社近くにあるあばらy……失礼、いかにも年季のしみこんだ山の茶屋然とした方の店から、
見るからに曲者臭の漂うらんぼうn……失礼、
威勢の良い、百戦錬磨の呼び声がする。
さきほどヨ氏が、
「あの店、『かき氷1杯300円、食べ放題』て書いてますけど、1杯なんですよねw?」
と軽くいじっていた店である。
確かにあの書き方ではよく分からヌ。


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店から出てきたご婦人の呼び声があまりに威勢が良すぎて、寄り付く客もない。
ワカル。
私たち3人も、当初は取り合っていなかったし、取り合う気もなかった。
しかしまあ……なんでしょうな。



申し訳ない。



私です。
私が最初に拿捕されたのです。

お店というか、海の家の山版のような、その内装……なんだかよく分からないオブジェが、
屋根の下に収まりながらもむき出しになって牙をむいているその様に、
そこに何があるのかに、好奇心を抑えられなかった。
声を張り上げているご婦人からは、まだ相当距離があった。
もしあれがRight-Onの店員だったら完全に射程外だ。
向こうが距離を詰めてきたとしても、離脱出来る自信があった。

それなのにまさか、
移動しながらMAP兵器を撃ってくるユニットがいるだなんて、フツー思わない。
最近ラノベだかで、『通常攻撃が二回攻撃で全体攻撃のお母さんがうんぬんかんぬん』というのがあるらしいが、
RTSでもないのに高速移動しながらMAP兵器を撃ってくるお母さんだったわけです。
そんなの見抜けない。

声をかけてくるにしてももう少し近づいてからかけるもんだろうに、
完全に油断したオイサンの左ななめ後方約5、6mの距離から話しかけてきた。
もう、最初の言葉が何だったか覚えていない。
ただ、それよりちょっと離れたところにいたテ氏が、なんとも言えない複雑な表情で笑っているのが見えた気がした。
会話の内容で憶えているのは、話がかき氷のシステムに及んだ辺りからだった。

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「かき氷もねえ、これ1杯300円でしょう? おかわりし放題だし、シロップもかけ放題なんだわ」
「あ、これ食べ放題なんですか?」
「そう。ひとりで何杯食べてもいいし、一人が注文して、他の人に分けてもいいのよ。
 毎回シロップもかけていいし」
「あ、え? 他の人が食べてもいいの? それ大丈夫なンすか?」
「いいんだズラ(*)。せっかく来てさあ、楽しんでってほしいじゃん?」


  *原文ママ。ズラ訛りって初めて聞いた。


なんというサービス精神。まさか、そこまでタガの外れた食べ放題だとは思わなかった。
下界では、おかわり自由を謳いながら実は2杯までだったり、大食いメニューも協力プレイは禁止だったりと、
様々な制約を設けて自分たちのアガリを守ろうとするのにキュウキュウとしているというのに。
ここでの無限は真の無限、本当の愛はここにあった。


  ……いま書いてて思ったのだが、このご婦人、

    1. 山の上でカフェ(?)を営んでいる
    2. 訛りがすごい(かわいい)
    3. サービス精神がすごい
    4. お客が少ないのを嘆いている

  などの共通点から、もしやアルパカちゃんだったのではないだろうか? 
  という恐ろしい仮説にたどり着いた。
  「博士に教えてもらったんですか?」って聞いてみれば良かった……。

けものフレンザーたちから殺されそうな冗談はさておき、
オイサン一人ではこの重力圏内から脱することは不可能、
最低でもかき氷は平らげて見せねば解放してもらえないだろうと踏んで、
「ヨ氏ー、かき氷、本当に食べ放題らしいぞ」
と、エースを呼び寄せる。
そうなると、若干遠巻きに見守っていたテ氏もやって来ざるを得ない。
何を呑気に見ているんだね! 知ってるんだぞ、君らこういうの大好きだろう!

そしてここからは……怒涛の一時間であった。

オイサンとテ氏はアイスコーヒー、ヨ氏は300円で、のちに
「この時期にかき氷食べるのは、生涯で最速かもです」
と語ることになる、食べ放題のかき氷を注文した。

  お婆「シロップは? なにかける?」
  ヨ氏「じゃ苺で」
  お婆「もう一種類は?」
  ヨ氏「え? どういうことっすかw」

こういうことである。


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上と下、別々のシロップを選んでいいのだ。無限のサービス精神!
選ぶのに困ったヨ氏に請われ、オイサンはマンゴーを指定した。

目の前で、ガリガリと音を立ててイキの良い氷が削られていく。
コーヒーも運んでこられ、さあコレを片付ければ観光を再開できるぞ!
……と思ったのもつかの間、お婆はさっきまであんなに熱心だった客引きもやめてしまって
我々のテーブルにつきっきりでトークショーを始めた。
こ、これでは迂闊に脱出できない!

 「かき氷はねえ、3杯半食べてった人もいるよ!」
 「あの神社はねえ、本当はあっち(ロープウェー乗り場の反対側)が正面だったのさ。
  でもあっちにのりばが出来るからっつうんで、こっちに鳥居こさえて
  お迎えするようにしたズラ。
  あたしらはさあ、その前からずっとここで商売してるじゃん?
  そういうのもずーっと見てきたんさ」

などと、まだまっとうな観光情報も提供するかと思えば、
急に一度店の中にひっこんで、お、話は終わったかな? 今なら脱出できるかな? と思わせておいて、

 「食べる?」

と持ち出してきたのは……フキである。
アイスコーヒー&かき氷に、フキの突き出し! しかも突き出しが後に出てくる!
ざんしんwww! と、ひと笑いしたのも束の間、
……このフキ、下処理がしっかりされていて、嫌な匂いやエグ味が一切なく
サクサク食べられてしまうのだった……達人の仕事です。

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  ここでウッカリ「あ、美味い。美味いっすねえ!」などとホメようものなら、
  2撃目のタラの芽弾が装てんされてしまうので、早く退散したいときは言わない方がいい。
  ……。
  しかしオイサンらは比較的時間の都合をつけやすい旅程で来ているから良いようなものの、
  時間カッチリで予定組んじゃってる人はヒヤヒヤもんだろうなw

ヨ氏がかき氷の一杯目を平らげると、
「もう一杯どうする? シロップは?」
と追撃をかけてくるものだから、ヨ氏にだってエースとしてのプライドがありますもの、
応戦しないワケにいきません。
そうするとイキオイ、話も長引いて、あちらも果たして観光客相手にそんな話がしたいのかどうか、
よく分からない話題まで持ち出してきます。


「入間のコストコで買ってくる冷凍餃子がうまい!」



とかそんな情報、わざわざ甲府の仙人から聞くような話か!
よくこんな話wwww観光客相手にwwwwするよなwwwww

  ……うーん。
  RPGの、町から外れた一軒家に住んでる婆さんから、
  たまに変な道具の効能を聞かされることがあったりするけど、なんかそんな気分だ。

マ入間方面の話になったのは、私たちがどこから来たかというハナシから派生して、
東京、神奈川の方という流れから、
お婆自身が関東圏のどんなところへ行くか、行ったことがあるかみたいな話になり、
横浜中華街の中華に話が及んで、

  「麻婆豆腐ならあたしのが美味く作れるね!
   でもあの、えびチリつうの? アレは美味かったね。
   でも餃子! 餃子はね、入間の方のコストコ、あそこで買ってくるね! あれは美味い!
   あとそこのティッシュ。それもね、コストコでまとめて買ってくるね、安いから!」

つって、もう一体俺たちは何の話を聞かされているのだか
おかしくて仕方がない。
こっちも半分調子に乗って、その話題に相槌を返してしまうものだから、
向こうはさらにサービス精神を発揮してくる無限のマッチアップ。
テ氏はテ氏で、お婆の話す道路事情やその速さに共感を示す。
お婆はときおり店に引っ込んで、「お、終わったかな?」臭を漂わせつつも、
ものの数分でまた現れる、という謎のシーンチェンジを繰り返し、
なんなら衣装替えがないのが不思議なほどの舞台転換さばきでありました。

  テ氏「あの、時々いなくなるのはなんなんでしょうねwww?」

分かりませぬw 奥で水でも飲んでるんじゃないのかwwwリポビタンの瓶でww
一体、お婆の本来のオシゴトは何なのか、客引きなのか、ホールなのか厨房なのかホステスなのか。
話の最中、神社に備え付けの自動おみくじ機の調子が悪かったらしく、
独りのお父さんが訴えにやってきたのだが、
なんだか非常にざっくりした対応をしていたようにお見受けしました。
山の看板娘を、オイサンたち3人で独占しちゃってていいのかなあ。
ボクらそろそろ、オイトマした方がいいんじゃなあい(そろそろ次へ行きたい)?

突き出しに出てきた山菜についても、ちょっと尋ねれば

  「ああ、あんなもん、ここに上がってくる途中にちょっちょっと寄り道すればもう、
   お店で売ってるズラ? こーんなちょびっとの束が、300円、400円?
   (いかにも作った渋い顔の前で手を振る)とーんでもない。
   タダさー、自分で摘んで来れば」

演技派だもの。
お婆、どっかで女優でもやってたんじゃないの?
……などと話を振った日には、きっと娘時分の自慢話の一つや二つ飛んでくるので
言いませんでしたけれども。
そうして極めつけは、お婆、昇仙峡の地図を持ってきて、
とっておきの観光情報でも教えてくれるのかな? と思いきや。

 お婆「あんたらどうやってきたズラ? 車? どこ停めたさ? この道で、この駐車場。ははあ。
    よく聞きな、ここに三叉路があるでしょう?
    昇仙峡の入り口のところに駐在所があるズラ。
    ここにはねえ、もうずーっと前からいてくれてるお巡りさんがいたんだけども、
    この四月で定年になっちゃって。替わるときもちゃーんとあいさつに来てくれてねえ……
    それはそれはいいお巡りさ(中略)
    そんでこの4月から、新しい駐在さんがくるズラ?
    これがまた……(さっきの渋面+煙たいしぐさ)……なんズラねあいつは!
    Tシャツにジーパン履いてもう、小僧っ子みたいな格好して、
    ここ! この三叉路の陰に隠れて、一旦停止するかもう、じー……っとみてるズラ!」
 俺ら「(ああ、三叉路のハナシはここからなのか)」
 お婆「この三叉路で、一旦停止するズラ? そしたらそいつ物陰から出てきて、
    『止まってない!』って7000円と減点よ。マーいけ好かない!
    だからね、あんたらはここの一旦停止でキチッと止まって、3秒! 三つ数えて発進するの!
    いいね!」
 俺ら「はい、わかりました!」
 お婆「ねえ! せっかく遊びに来てくれてさあー、
    そんなことでイヤな思いして帰ってほしくないじゃん? 3秒! ね! 気を付けて!」

お婆、観光案内所では教えてもらえない貴重な情報ありがとう!

かくして、かき氷2杯、アイスコーヒーを2杯、そして突き出しの山菜(フキ、タラのメ)をいただき、
我々は賢者の祠をあとにしたのであった……。
あ、ついでに話の中で出てきたマスコット犬コロちゃん(故人)のお写真も見ていきました。

かれこれ……3、40分は捕まっていたのではないだろうか。
イヤ、お婆、悪い奴じゃないんだよ。すっごいいい人!
でも、なんだろう! なんなんだろうなー!
しかしなんだろうな、なんでこんなに長引くのか。
オイサンがリアクション返すのが悪いのか?

……。

などと面白おかしく書いてはいるが(実際面白おかし過ぎたんだけど)、
あとから思い返して調べてみれば、
昇仙峡ロープウェーの開業がおよそ50年ほど前で、
お婆はそれ以前からあそこに店を構えていたような口ぶりではあった。
また、定年になったお巡りさんからも敬意を払われる関係性は、
まず間違いなく年上であろうと推測できる。
……お婆はいま一体いくつで、いつからここに庵を結んでいるんだい……?
まさか俺たちはとんでもない偉人にコンタクトしたのではないだろうか……。

ちなみにお婆は一人ではなく、お店にはもうひと方、同じくらいのお年のご婦人がおられました。
ずっと一緒にやっているのかね。なんだかすげえや。

釈放されたあと、さあ人間界へ帰ろうとのりばに行くと、
次の便は近かったのだが随分ギッシリと並んでおられ、もしかするとギリギリ乗れないかも知れない、
というほどであったので、20分ほど時間をつぶして次の便を待つことにした。



……キミらさあ、こんなに人間おんのに、なんで誰もあの店に来ぇへんかったん?



例の、例の占いマシンが故障した不信心な親子くらいやん?
こんだけ、ロープウェーに乗り切られへんくらい人来てんのに。
この前にも後にも、ロープウェーは20分間隔で運行しているのに。
あの店来た人、ゼロやったやん?
試しに「昇仙峡 かき氷」などでググってみても、
何やらクソオサレな山ガールやサイクリストのいけ好かないブログやインスタばかりが見つかって、
山頂でお婆さんにつかまり、入間のコストコの冷凍餃子がウマイ話を聞かされた、
などの奇譚は一つとしてヒットしないのです……
お前ら、昇仙峡までいって、あの話を聞かないで何をやっているのか!
何を思い出と呼ぶんだ、お前らは。

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窓部が顔出しになっている、ある意味逆転の発想の看板。
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景色は普通に絶景なんすよ。


20分ばかりは、謎の鈴投げ入れアトラクションと、
変わりダネ顔出し看板(ロープウェー型の窓から顔出すタイプ)などで楽しく過ごした。
オッサンてなんでも楽しくできるから最高だな。
これがJKやOLではそうはいかないであろう。



■1日目:昇仙峡・仙娥滝



さあ、山頂で1時間半ほども費やしてしまいました。
昇仙峡は、なんて見るトコ盛りだくさんなんでしょう。
地上に降り立った我々、ようやく昇仙峡の本丸に切り込んでまいります。
ここから昇仙峡さんの本気が……

  テ氏「そんじゃ、ちょろっと滝くらい見て帰りますかw」
  ヨ氏「でっすねw」

きみたちw! なんでもう「見終わった」みたいな空気を出しているんだねw!!
分かってるぞ、キミらもうすっかり腹ペコなんだろうw!
そりゃそうだよ、だってもう1時半なんだから。
山頂であんなに時間食うなんて思ってないだろ!
そういうときはもう「空腹はゴハンまでとっとこう」なんて考えないで、
なんかお腹に入れるんだ! じゃないと、落ち着いた気持ちで景色を見られやしないんだぞ!

  以上、途中のコンビニでパン買って腹ごしらえ済みの人の意見です!
  マ、あとで美味しいものをお腹いっぱい詰め込みたい!
  って気持ちはよく分かりますが。
  まあいいさ、見てろよ、あとでモノスゴイのたらふく食わせる店に連れてってやっから。
  ですけども、ホント皆さん、旅行で景色を落ち着いて見たいときは、
  お腹の具合は先に整えた方がいいですよ、ホント。すきっ腹は落ち着きがなくなるから。

そうして向かった先が、昇仙峡のメインスポット、仙娥滝と覚円峰。
「ロープウェーの駅を降りたら、歩いて5分くらい」というお婆の情報に従って川沿いを下っていき、
なぜかエイリアンVSプレデターが展示されている(ホンマになんでや)謎のみやげもの長屋を抜けると、
年季を経て見るからにザワザワした手触りの、ひやりと冷たい鳥居が現れます。

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それをくぐり、左手に切り落とされた断崖、右手にはそびえる岩壁を見つつ下った先に、
舞い上げられた水の粒子が早くも辺りをつつみ込み始める。
渓流だけが持つ涼やかな水気(すいき)に、体がつま先から洗われていくのが
ありありと感じられるようになる。
石段も、岩壁も、どんよりくぐもった鼠色とこげ茶色の中間の色をしているのに、
空から降りてくる光の淡い緑が一枚加えるトーンが、それらを打ち消して余りある明るさを作っていた。

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そうしていよいよ姿を現す、仙娥滝。
はあ、これはなるほど、立派な滝。荘厳。
水もどうどうとたいへんな勢いで、滝の頬とも呼ぶべき、しぶきに濡れる巨大な岩の壁も艶っぽい……。
ちょろちょろ注いだり、サラサラ舞い散ったりするのも滝ですが、
これはもう、昔話の滝。ザ・滝。文句のつけようのない滝オブ滝。た&きであります。

滝というのは、いつも思うのだが、見聞きするにとどまらず、体感するものである。
写真では言わずもがな、動画でも、伝わるものは全体の1割、2割というところだろう。
今はやりの、VRや4DXを組み合わせて世界中の滝を楽しむコンテンツを作れば
かなり良いのではないだろうか。

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目で味わう情報の全体を占める割合が、他の景観に比してきわめて微小であることに改めて驚かされる。
音と、肌に感じる水の気配と、その水によって感じる匂い、
そしてその落差を形づくる閉鎖されながら解放的でもある「大きな小部屋」のような空間に、
その空間を支える岩や木々それぞれの、巨大な密度ある質量の存在感。
擬音で表現すると、

 どずん!
 ガン!
 ふわっ……
 ゴドドドドドドドドドドド……

というような(分からんわ ← いや分かるよ)。
大きなものの前に自分がいることよりも、自分が小さくなった錯覚の方を大きく感じる。

この日はもう、天候的にはこれ以上ないくらいのパーフェクトウェザーだったので
大変にすがすがしかった
ここ多分、曇りか、小雨くらいの時に行ってもまた違う良さがきっとあるであろうなあと思う。
マその場合、足元には厳重な注意が必要だろうけど。



■1日目:昇仙峡・覚円峰



……どうでもいいけどさ、昇仙峡行って、
茶屋のオモシロお母さんを、仙娥滝と覚円峰と同じ扱いの章区切りで扱って書くのって
どうなんだろうね。イヤいいんだけど。

天上で過ごした仙人との時間で随分と予定が狂ってしまったとあって焦りを見せ始める
(あと大変お腹が空いている)二人を
「もうちょっとだけ! もうちょっとだけ奥まで行ってみません?」
と説き伏せ、もうチョットだけ奥へと進むことに。 先っちょだけ! 先っちょだけだから!!

……マそもそも、仙人の庵にウカツに近寄り
問答無用のマップ兵器でズドンとやられたのはオイサンなので、
時間食ったのはオイサンのせいみたいなところはあります。
これでもし、進んだ先に見どころが何にもなかったらどうしようか、と若干ビビっておりましたが、
角を一つ曲った時点で、その不安はどこかへ消し飛びました。

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覚円峰とその周辺の景観については、マ以前書いた通りで、
頭上に大きく、庇のように張り出した岩をくぐった先で急に広がる渓流の眺めが大変ドラマチック。
自然というのは本当に、想像を越えてくるくせにある種人間臭い、
心になじむ景色を作ってくるから畏れとともに親しみを覚えざるを得ない。

覚円峰さんは、目の前にもう突然、ずがんっ! っと。
ずがんっ! と垂直立ち上げの人であり、また流れの対岸に一人でおられるので手にふれることも出来ず、
狂った遠近感の向こう側で、どこか蜃気楼のように佇んでおられるので、
あまりこう……現実感がない。
「高さ180m」というスペックも、正直、この感覚の前ではあまり意味がないように思われる。
皆さんにも分かりやすくたとえると、
ダイターンがガオガイガーを肩車したくらいの大きさです。

  ちなみに、かの有名な一枚岩、オーストラリアのエアーズロックさんは地上からの高さは350m弱らしい。
  真下からずばっと見上げたら……どんなもんだろうか。やっぱり差はわかるのかな。
  あと、エアーズロックさん、
  最近は現地人の呼び方で「ウルル」という呼び方に直されているご様子ですね。

ぬぼっと高く、凹凸はありますがことさらゴッツンゴッツンした感じではないので
赤いペンキで「SOUND ONLY」とか落書きしてやりたい(怒られます)。
前回、「水墨画の様だ」と書いたのですが、そう書くのは、
現実味、存在感の希薄さを無意識に感じとったときなのかもしれませんな。
はっはっは。 ← 何を笑ろとんねん

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こういう大きな岩には、険しさよりも、語り掛けてくるようなやさしさ、
包容力のようなものを感じてしまうのは、この星のザ・岩な部分を感じてしまうからなのでしょうか。

などと、先へ進むほどバリエーション豊かに変化する景観と、とうとうと流れる清流に身を任せていると
時の流れにのってどこまでも行ってしまいそうだったので、
ここらでおしまいにして次のスポットへ向かいましょう。
ていうか、お二人の空腹がきっともう限界だ。

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自分ひとりだったら、きっと本当に、朝から晩まで丸一日、
上から下まで何往復もして過ごしてしまうことでしょう。
ていうか、今度一人で来てそれやーろうっと。
早朝の光と夜の光できっと全然違うであろう。



……。



サテまたしても長くなってきたのでここらでお別れ。
次回、ようやくお昼ゴハンにありつきます。

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オイサンでした。

 
 

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2017年6月18日 (日)

■裾野に根付く~甲州・昇仙峡ぶらり旅・その一~ -更新第1127回-

先にもお伝えした通り、GWに1泊2日で、山梨は甲府にある昇仙峡を訪ねてきました。

素晴らしい景観と美しい水と、豊富な才能といろいろと過剰な料理に恵まれた
それは素晴らしい旅だったことは前回書き残した通りなのですが概略を記したに過ぎず、
アレでは圧倒的にディティールが不足しているので、
描き切れていない様々な驚き、甲州七大驚異についてつぶさに書き残して置こうと思います。

なぜならコレは日記なのですから。



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■■■━ 黎明~Awaking~ ━■■■
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先の日記でも書いた通り、今回の旅は、始まりと成り立ちからして
いくつかの偶然が織り重なって出来たモノでした。

行先を決めるに当たっては、候補に挙がった山梨という言葉に私が反応しました。

旅の数週間前、私はたまたま一人で甲府を訪れていました。
旅先には、比較的近隣で、静かで、人の少なそうな町を選んだつもりが、
その日はたまたま町の一番のお祭りの日で騒がしいことこの上もなく、
辟易した私は、目抜き通りを外れた小さな喫茶店に逃げ込んだのでした。
そこで、よくしゃべる店の女将に、昇仙峡という渓谷のことを聞いたのです。

旅を仕切るテ氏が行き先の候補を挙げた中に山梨があり、
昇仙峡のことを思い出した私が、そういえばこんな場所があるらしい、と、
よく調べもしないうちから名前を挙げたことが、第一のきっかけとなりました。
出立の日も近付いていたので、サッサと行先を決めてしまいたい、
という心もあったのかも知れません。

いずれにせよ私たちは行先を甲府・昇仙峡と定めで旅に出、
そこで一人の怪人……否、賢者、仙女と出会うことになるのです。
彼女はそこに、50年住まう者でした。


第2の偶然は、テ氏が選んだ宿の場所でした。
ここだ、と彼が送って来た宿の地図の場所を見て、私は思わず目を眇めました。
その宿は、私が一人旅行をしたときに立ち寄った、奇怪なメシ屋のすぐ傍でした。
そのメシ屋は、味こそやや濃いめではあるものの普通の範疇でしたが、
その立ち居というか、佇まいというか、風体というか、
つまりは見た目と雰囲気が独特、
独特中の独特、
ザ・独特、
独オブ特でありました。
世間には、監獄を装うなどエキセントリックな見た目を
セールスポイントにしているレストランなどが多々ありますが、
本人はそんなつもりないのに結果あんな感じになったお店、と言えば良いでしょうか。
そんなお店であるので、私は特段、2人の旅仲間にお店のことを教えたり、
お連れしたりするつもりもなかったのですが、
そんな偶然の方からこちらへ歩み寄って来られてしまうと面白くなってしまい、
彼らにその店のことを話してしまいました。

  彼らがあのテの魔窟をよく好むことは知っていたので、
  そこに恐れや躊躇はありませんでした。

そうして初日の昼をその店で摂ることが決まり、
……そこでもまた、私たちは一組のエキセントリック老年カップルと出会い、
独特の世界観に飲み込まれることになったのでした。
彼らはその場所で、40年に渡ってあの頑迷なメシを人々に供し続ける者でした。

最後の偶然は、初日から連なり2日目に起こりました。
今回の旅はとにかく快適だったのです。
天候は最高でした。
空はよく晴れ、暑すぎず、寒すぎもせず、そして道路事情も素晴らしく快適で、
日本一の大型連休のさなかであったにもかかわらず渋滞知らずでスイスイと、
我らがジェントル号の足はよく回ってくれました。
そのせいで……我々は、「あまりに早く目的地に着き過ぎる」という道の恐怖を体験することになりました。
なにぶん、予定を「昇仙峡に行く」しか考えていなかったのです。
しかも、それは2日目に行われる筈でした。
初日は、甲府の町近辺でもゆっくりと見て回り、少し早い時間から宿と飲み屋にでも入って、
のんびりマッタリしようじゃあないか、という
壮年の男にありがちなプランニングをしておったものですから、
さあ困った、いざ初日の午前中のうちに甲府についてしまいそうだとなってくると
さすがにそんな時間からは宿には入れない、飲み屋にだって入れない。
慌てふためいた我々は、昇仙峡は初日のうちに見てしまおう、
明日は明日で何かを考えようと、なんともらんぼうな、
行き当たりばったりにもほどのあるプラン組み換えを敢行したのです。
その時誰かが……たしかヨ氏であったと思うのですが……言った、
「水のきれいな場所とか、なんか近くにありませんでしたっけ?」
という言葉から、2日目の目的地として忍野八海が決定されたのです。

そしてそこで、幼い頃に訪れたことがあるというヨ氏の記憶に導かれ、
訪ねた謎の「製麺所」にて……そこで30年のときを刻む最後の賢人、
ビジネスモデルの神と巡りあうことになるのでした。

大きな3つの偶然と、出会う3人の……厳密には2人と一組の……怪人。
90年代の終わりに2000年代のテクノロジーを悉く予見した、
名著『機動警察パトレイバー』の中で、
登場する敏腕刑事・松井がこのようなセリフを残しています。


 「俺も偶然は二つまでは許すことにしてるんだ。
  しかし三つも重なったらこいつは偶然とは思えん、何らかの必然があるんだ」



あまり想像したくはありませんが、そう、これはもう必然なのでしょう。
テ氏と、ヨ氏と、そして私、3人には、怪人を引きよせ、怪人に引き寄せられる
素養が備わっているに違いありません。
スタンド使いみたいなモンです。
今こうして思い返してみても、不可思議な出会いの糸が、
何者かの優秀なストーリーテラー……たぶん堀井雄二あたりだと思いますけど……によって
紡がれていたのではないかと思える、そんな旅でした。

……マ前のときにも書いていますけど、大筋はコレで大体全部なので、
あとは細かいところが気になる人だけ読んで下さい。
お写真なんかも、良いトコは前の記事で大体載せているので、そっちを見れば済んでしまいます。
3賢者のありがたいお言葉をつぶさに心に刻みたい勇者だけが、この先の頁に進んでいい。



さあ、旅を始めましょう。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■━ 1日目 ━■■■
================================================================



■1日目:出発 八王子~奥多摩湖~国道411・大菩薩ライン



集合は朝の6時。
よつさんは、前日何やらとてつもない肉を食らっている様子がTwitter上で見受けられたので、
もしかすると羽目を外して、今日こそは久々に良いシゴトするかも(※)?
と期待されましたが全然オンタイム。

  ※遅刻するかも、の意


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GW期間中とはいえこの日は平日で、八王子、青梅を抜けて奥多摩湖へ向かう途中では、
垢抜けないJC、JKや学ラン姿のクソ坊主、
サッソーと自転車を走らせるイケメン学生さんらと道を行き交うので、
退屈しのぎに、「こいつはモテねえ!」「こいつはモテる。余裕がある」
などと、積年の知見を元に的確な品評会を開催しておりました。
すまない学生諸君。
オジサンたちは平日に遊んでいる上、これから学校へ行こうという君らをダシにして
ワリと笑わせてもらったぞ。

  しかしそれは仕方のないことなのです。
  なぜなら、この時点では旅がどういう方向に転がるか、まだわからないのですから。
  何かしらでも拾いあげて土台固めをしておく必要があるのです。
  なにも素晴らしいことが起こらなかったとしても、
  なにがしかの「楽しい」があったことを、組み立てておかなければならないのです。

時間の割に車の数は目につくものの渋滞とは無縁で、
妖怪ペダル、妖怪ばくおん、妖怪山登りジジイ・ババアなどの妨害も少ない。
奴らの出現は、やはり休日であることが条件であるもよう。
ただし今回は新たなトラップとして、妖怪路肩三脚ハミ出し老人の出現が数体確認されました。
あれは動的なトラップではありませんが、危ないな。
この世ではみ出していいのは、唯一二次元ギャルの乳輪だけである。

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「平日の朝のワリに人がいる」と、テ氏も驚きの奥多摩湖。
まあワンサカというほどではないけれど確かに人影は目につき、
しかしそれ以上に目についたのは燕の多さでした。
気を抜くと衝突しそうな数と頻度でヒュンヒュン飛び回っておられ、
見れば、あずまやの軒に巣を建設中のご様子。


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30分ほど休憩ののちエンジンを再始動させ、いよいよ道は青梅街道・大菩薩ラインへ。
大菩薩ラインは、国道411号線の、大体奥多摩湖の西のしっぽの辺りから、
甲府に入る手前あたりまでをその様に呼ぶようです。
テ氏もお気に入りの道なのだそうで、
「いきなり現れるヘアピンとかあっていいんすよ。
 うちの奥さんと『爆笑カーブ』って呼んでんですけど!」
とご満悦。笑ろてる場合なんスかそれ。

  ※テ氏の安全運転技術はグレイトです。

そんなテ氏オススメの大菩薩ワインディングロードをワインワインすること、1時間あまり。
私たちは、塩山千野のセブンイレブンにおりました。


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「まだ10時……。道がすいてたら、奥多摩湖からここまで1時間で来れちゃうんだなあ」


しみじみとテ氏が言いました。

オイサンは、自動車の運転を一切しないせいか、
他の3人(※隊長を含む)に比べると道路のことや途中の休憩ポイントの特徴などについて、疎い。
しかしこのセブンは印象に残っていて、以前もここで休んだ記憶が甦ります。
坂の途中にあるからなのか、建て方が乱暴なのか、
なんかちょっと傾いている感じがするからかもしれない。

このままいくと、11時には甲府に着いてしまいます。
甲府で何をするのか? 実は、何もありません。
冒頭でも述べた通り、今回の旅の大きな目的は昇仙峡だけであって、
あとは「なんかのんびりしよう」くらいしか考えてこなかった。
昇仙峡は明日、今日はゴハン食べて湯に浸かってエッヘッヘッヘくらいの、のんべんだらりよていなのん!
無計画じゃこまりますん!

そこで、……記憶は曖昧なのですが、
「なんかこの辺に、水がキレイなとことかありませんでした? 前言ってた……」
と言ったのはヨ氏ではなかったでしょうか。
それを聞いてピンと来たのが忍野八海でした。
甲府から近いかどうかは、オイサンのモノサシではわかりませんでしたが。


  「忍野八海? 帰り道に? 行けるの?」
  「調べてみる……全然ヨユー」
  「じゃそれで」


決まりました(はやい)。



■1日目:昇仙峡ロープウェー~パノラマ台駅



そこから一時間あまり。
甲府の町を一旦抜けて、山に入り、昇仙峡のエリアに足を踏み入れます。
オイサンは言い出しっぺなので、昇仙峡の大体のマップは頭に入れてきております。
できる子。
……の、筈だったのですが。

昇仙峡は、甲府の北の山中を南北に流れる荒川に沿って形成された渓谷で、
オイサンの調べたところでは、その北端と、中ほど、南端の三か所に代表的な駐車場があるようでした。
端っこの駐車場に止めて反対の端まで歩けば1時間半ほどらしく、
自分ひとりであればそのコースをとるだろうけど、
さすがに三人でそれだけ歩くのは、時間的にも距離的にも無理があるので、
クルマを見どころの集中する真ん中の駐車場に停め、その周辺を散策するプランを提案しました。
……の、筈だったのですが!

一つ目の駐車場がゲキ混みだったので。
知ってます? ゲキ混み。ゲキ混んでんすよ。
まだ奥に駐車場があるので、もう一つ奥まで行きましょう、とテ氏にお願いして車を走らせてもらったトコロ、
着いたのは……どうやら、最も奥まった駐車場。
あるぇ~~お~かしいぞお~???
……どうやら、先ほどパスしたゲキ混みPがセンター駐車場で、
南端の駐車場は気付かぬうちにパスしてしまっていたらしい……。
すまないみんな、オレのせいでこんなことになってしまって……。

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しかしそれしきのことでうろたえる我々ではありません。
順調であることには滅法弱いが、乱れることに関してはオーソリティなのです。
これまで伊達に、100㎞も寄り道をしたり、
木崎湖に行くつもりが白馬までに行ってしまったりしてきたわけじゃない、この程度はへのカッパ。
「じゃあもうここを拠点にしちゃいましょう。駐車場広いし」
と決断し、車を降りてすぐ目に入るのは……
穏やかな荒川の流れと、昇仙峡ロープウェーの文字。

しかし今にして思えば、この誤りとも呼べない些細な道誤りも、
今回の旅の重要な偶然ファクターであったかもしれません。

……もし首尾よくセンター駐車場に車が停められ、
下流からさかのぼるお仕着せの探勝ルートを辿っていたならば。
ここにたどり着くまでに、観光らしい景勝を存分に堪能していたならば!
……果たしてテ氏は、苦手を押してまで「ロープウェーに乗ろう!」などという決断を下したでしょうか。
オイサンのアタマでは、このロープウェーには乗るつもりはなかったのです。
なぜなら、

  テ氏  「……ロープウェー乗りましょう。せっかくだから」
  オイサン「え? ダイジョブなんすか?」
  テ氏  「全然。ダメに決まってるじゃないですか」


こちらの御仁、高いところがダメなのである。
だからネットで見たときから、オイサン的には「この乗り物はハズシだな」と考えていたのだが。

  テ氏  「乗りましょう! せっかくだから!」
  オイサン「え? 本当にダイジョブなんですか??」
  テ氏  「全然!? ダメに決まってるじゃないですか!!」


男気という奴です。もしくはドMです。
まオトナが自分で「大丈夫だ」とこれだけ言うんですから、
周りとしては、それ以上何も口出し出来ることはありません。
乗りましょう乗りましょう。

弥三郎岳ロープウェーは、片道約5分、往復で1200円。
マ平均的な観光ロープウェーと言えましょう。
大きな混雑ではありませんでしたが、オイサンらはその便のほぼ最後尾での搭乗となったので
ワリとぎゅっと詰め込まれた感じです。
個人的には、マこんなもんだろうな、という運行と眺望であったのですけれども……
降りてみると、テ氏とヨ氏が何やら盛り上がっている。

  テ氏「あいつらが! あのブサイクが!」
  ヨ氏「ですよねw! ですよねw!」


あとから聞けば、どうやらぶっさいくなカップル……失礼、美しさの著しく不足した一組の男女が、
その見た目に違わず、心の美しさも一緒に母親の腸の中に置き忘れてきたらしく、
ロープウェーの恐怖に打ち震えるテ氏の眼前でムイムイちゅっちゅと
いちゃラブワンダーランドを建国していたのだそうな。
普段は温厚で、他人を悪しざまに言うことなど一切ないテ氏であったが、
このときばかりは憤懣やるかたないとばかりに
そのいら立ちを面白おかしく爆発させておらっしゃった。

なんでも、ゴンドラの外を見るのがおっかないので内側に目を移せば、
ギュウギュウの車内ではもう目の前のブサイクラブキャッスルしか目に入らず、
それでも構わず彼らは分泌物の交換に余念がないという状況で、
引くも地獄、進むも地獄の昇仙峡・愛の絶景地獄であったらしい。

  あっはっはっはっはっはwwww災難だったなwwwww ← 鬼


 テ氏「まあ、そんな人の容姿を悪く言うつもりなんかないですよ?
     ないんですけど!
     それでもあのブサイク……!
     あいつらねえ、あの濃厚さはきっとまだ付き合い始めたばっかですよ!
     あんなモンひと月は持たない! 絶対です! 3週間かなーもって!
     ホントもう、めちょめちょベチョベチョと……男の方もですけど、
     女の方! 絶妙ですよ! ブサイク! しかもカラダの方がロケットおっぱいでしょ!?
     あのワガママボディでブサイクとかもう……尚のことたちが悪い!」



と、オイサンとヨ氏も、手を叩いて賛同するよりほかなかった。知らんけどw
いや、まあ、確かに。
言われて意識して見てみれば、
ロープウェーを降りた先の山頂に点在するスポット先々での彼らの淫行は目に余るものがあった。
もう少しこう、節度をもってワイセツ行為に臨んでもらいたい。

  このあと、宿に帰って今日一日を振り返った際に、
  彼らはこの先つがいでいるであろう期間(見積もり)から
  「3週間フレンズ」
  と名付けられることになる。
  我々の眼前で、ヘタにオモシロ行いに及んだのが運の尽きである。
  コチトラ何だって拾っていくんだからな? コノヤロウ。

……というワケでこれからしばらく、この弥三郎岳山頂周辺のスポットをご紹介してまいりますが、
我々の周りでは大体常にブサイクなカップルが濃厚ラヴを育んでいると思いながら読むと、
暑苦しくて良いと思われます。

ロープウェーでは、弥三郎岳の「パノラマ台」と名付けられた場所まで上がることが出来ます。
山頂まではそこから20分ほど尾根を歩かなければならないようですが、
我々はそこまでは行きませんでした。

パノラマ台からの眺めでも、晴れてさえいればどこからでも富士山と南アルプスの山並みが見渡せ
十二分に美しかった。
ザ・絶景。
……にもかかわらず、コレである。


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どうです、この自信。
絶景なら、キミの背後にもあるではないか……。
「こんなもんじゃないんだ、本当の絶景はこの先にあるんだよ!」
と押し付けてくるこの態度に、
「……もしかして、この後ろの崖の下になんか見せたくない物でも転がっているんじゃないか?」
と勘繰りたくなるほどのリードぶりである。
そしてこれである。


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「くん」を付けただけで愛着がわくからすごい。
大事なものであるなら、せめて屋根の下に置くとかケースに入れるとかすれば良いのに。
野ざらし。
それに、周りにこれだけの絶景があるのだから……
ナンも、敢えてここにモーターを展示しなくても良いようなものだが……。

  責任者「おい、こんなに何もなくて大丈夫か。山しかねえぞ」
  下っぱ「た、確かに……。せめてコレ置いときますか?」
  責任者「おう、無いよりマシだ、置け置け」

ってなモンであろう……つまり!
「モーターくん」がここに置かれていることは、
この絶景がこの辺りで暮らす人たちにとっていかに特別でないタイクツなものであるかを
逆に示している……のだと思われる。奥が深い(深いものか

一応、この山頂付近には絶景ポイントがいくつか用意されているのだけど、
正直どこから見たってどれも絶景オブ絶景、絶オブ景、絶&景なので、ひとまとめにお写真置いときます。


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あ、ただし、天気が悪かったらナンモ見えないと思います。
そんな時こそこの、モーターくんの出番であろう。
旅が雨で台無しになった旅行者の心を、そっと慰めるモーターくん!
……マ、そぼ降る雨に濡れる、役目を終えた野ざらしモーターを見て、
盛り上がった観光マインドがどれほど満たせるか……オイサンは知らんが。
それでテンション上がる女とは付き合いたくない……かな? イヤちょっと興味あるな(知らんわ


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よくある鳴らすと幸せになるアレ


ほど良く長くなってきたので一旦ここで。
次回、いきなりクライマックス。
オイサンでした。

↓次回の惨劇の舞台

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2017年5月21日 (日)

■甲州の3賢者と、ナインボール・ワンダーランド~2017年のゴールデン・ウィーク・その2~ -更新第1125回-

2017年のゴールデンウィーク、9連休日記の続き。
中盤戦のメインインベント。



■■■ 中盤:05/02(火)~05/03(水・祝) ■■■



3紳士―ズ(※テラジさん(@teraji800)・よつさん(@yotsuaki)・オイサン)で山梨へ1泊旅行。
今回の連休のメインイベントである。

  ※これにおみかん隊長(@NOR_kankitsukei)を加えると、暁の四紳士になる。
   銚子に行ったり、小諸に行ったりする。

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八王子から国道411号線・大菩薩ラインを使い、奥多摩湖、昇仙峡、と回って甲府で一泊。
翌2日目は、忍野八海に立ち寄り、道志みちを使って途中道志村で湯に浸かって帰京、という
山梨づくしの旅。





当初は甲府・昇仙峡だけの予定だったのが、
行きの道があまりにスイスイで時間が余りまくりそうになってしまったため急遽予定を色々変更し、
2日目の予定だった昇仙峡を1日目に、
空いた2日目には、忍野八海と道志村での温泉を追加した、という次第。

これまでの旅でもそこまでガチガチに予定を組むことはなかったとはいえ、
今回ほど大胆に動かしたり足したり引いたりしたのはあまり記憶にない。
偶然やら必然やら、いろいろ組み合わさって出来上がったミラクルトリップであった。
詳しくはまた個別に書くけれども、
今回の旅はさまざまな偶然に彩られた旅であり、なんというか……

  「お前たちは行く先々で、3人の賢者に出会うであろう……」

みたいな旅であった。

行き先が昇仙峡になったのは、
ちょっと前にオイサンが甲府一人旅をした時に「たまたま」入った喫茶店で「たまたま」得た情報が元であるし、
テ氏のとった宿が、
オイサンが甲府一人旅をした時に立ち寄った奇ッ怪なメシ屋のほとんど隣りだったことも「偶然」だし、
予定になかった忍野八海で、ナゾのそば屋……否、おみやげ製麺所に立ち寄ることになったのも、
行きの道路事情が「たまたま」快適すぎて甲府にオソロシく早く着いてしまった「イレギュラー」と、
ヨ氏の幼き頃の記憶の産物であった。

そして行く先々すべてで、賢者に出会うことになるなんて……。
なんかもう、『ドラクエ』みたいだ。
まあ出会ったのは賢者じゃなくて、どっちかというと怪人の類だけど……。

■行程概略
 ▼1日目
 早朝、06:00頃集合。八王子経由での411号で奥多摩へ向かう。
 08:30、奥多摩湖。燕と衝突しそうになる。
  大菩薩ライン(国道411号)を抜け、西へ。
 10:00、セブンイレブン・甲州塩山千野店。甲府へ向かう予定を変更し、直接昇仙峡へ。
 11:00、昇仙峡。謎の仙人&節操と美しさの無いカップル(直球)襲来。思いのほか時間を食う。
 15:00、「ひなた」にて遅い昼ゴハン。空腹が災いして判断を誤り、いいだけやられる。
 16:30、「ホビーショップショップ」いちかわにて2000番のやすりを買う。
 17:00、ホテル菊富士。
     本日の宿。部屋が、マーガレットの咲き乱れる超広い、メルヘンなはなれ(ほんとう)でビビる。
     「ひなた」での食いすぎダメージでしばし死ぬ。
 21:00、居酒屋かっぽうぎで少しだけ飲む。
 22:00、宿に帰って大急ぎで風呂。お部屋がジャパリパークに。

 ▼2日目
 08:30、いいだけもたもたした後、出発。
 11:00、忍野八海。人だらけでゲンナリするが水は掛け値なしに美しい。
 12:00、謎のそば屋……否、おみやげ製麺所名泉そばでお昼。謎ビジネスモデルに戸惑う。
  道志みち(国道413号)で、東へ。
 13:00、道志の湯でひとっ風呂。周辺でキャッキャウフフする。キャッキャウフフ。
 15:30、津久井湖で一休み。
 17:30、解散。


  ■1日目 : 出発~甲府まで


朝6時に3人集合し、そこから八王子を経由して、テ氏お気に入りの国道411号に乗って奥多摩湖へ。
奥多摩湖ではやたらと数の多い燕との衝突を回避しつつ(本当にぶつかりそうになるくらい多かった)
休憩を取って、大菩薩ラインへ突入。なかなかのワインディングである。
GW中とはいえ一応平日だからか、妖怪ペダルや妖怪ばくおん、妖怪ヤマノススメはさほど目につかない。
ただ新種の、路肩で三脚広げてはみ出しながら写真トールジジイがいた。あぶない。


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10時にはもう甲州塩山のセブンイレブンに着き、ドライバーのテ氏が
「道が空いてたら、奥多摩湖から甲府まで1時間でくるんだ……」とびっくりしていた。
「このままでは早く着きすぎる!」と、
旅程が順調に進むことに慣れないなれない我々はうろたえ始め(なさけない)、
慌ててこのまま昇仙峡へ行くことに組み替えた。


  ■1日目 : 昇仙峡、弥三郎岳パノラマ台


オイサンがチョイとガイドを誤り、昇仙峡最奥部の駐車場まで辿り着いてしまった。
テ氏は高いところが苦手なのにもかかわらず男気を見せ、
ロープウェイで弥三郎岳の山頂近く、パノラマ台へ。

  ※この先、「ブサイクなカップル」という表現が何度か出てくるが、
   まあその、あまり人様の容姿を論うのが良くないことも、
   自分が人様の容姿をどうこう言えるほどかということもよく理解しているけれども、
   なにぶんこのカップルは人口密集地においても所かまわずもう、
   ムッチョムッチョムッチョムッチョと、あまりにもエニープレイスベッサメムーチョの
   どこでもムーチョ仕様だったので、
   そっちがその気ならコンニャロウこっちだってテメエ出すもん出すぞっていう、
   そういう気持ちを込めてブサイクなカップルめ! と、このような経緯で表現しており
   決して差別や侮蔑やヘイトを助長する意図があるものではありませんし
   なんならフィクションとして処理してもらっても構わない。
   それでは引き続き、オッサン3人の珍道中をうたとおどりでお楽しみください。

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ロープウェイの車中ではブサイクなカップル(直球)がいちゃつくところを間近に見ることが出来、
山頂では、晴れ渡って富士山と南アルプスを一望できる素晴らしい眺望とともに、
すばらしく雑に配置されたナゾの観光オブジェクトが楽しめる。
無論、一緒に上がってきたブサイクなカップル(直球)が
引き続きあちらこちらで過剰なスキンシップや自撮りを嗜んでいるところを観察できますし、
300円で無限におかわり&シェアが許されているかき氷と、
何故かサービスで繰り出される付け合わせの山菜に舌鼓を打ちつつ
お店の看板娘であるところのご婦人の愉快な話を数十分に渡って聞くことができた。

  まさか、コーヒーとかき氷を頼んだら、お通しにフキとタラの芽が出てくるなんて……
  なんて斬新な茶店でしょう。

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  ヨ氏「生涯で一番早い時期に食ったかき氷かもしんないっす」


オマケに甲府市警の人事内情や、帰り道で引っ掛かる危険性の高い取締ポイントまで
聞きだすことが出来た。
詳しくはお話しすることは出来ないが、

  「帰りの三叉路で、
   4月に赴任してきたばかりのいけ好かない小僧っ子が
   Tシャツ姿で取り締まっているので3つ数えろ」


である。

  ……どうであるか。ますます『ドラクエ』の祠に住んでる賢者とか、
  『ゼルダ』の穴ぐら老人の助言っぽいではないか。
  ミンナニハ ナイショダヨ。

こうして第一の賢者との邂逅を果たした我々(主旨が違っている)は、
ロープウェー乗り場がチョイ渋滞していたので一本見送ることにし、もう少し山頂をうろついた。
素晴らしい眺望! 謎のすずアトラクション! ブサイクなカップル!
素晴らしい眺望! ブサイクなカップル! 斬新な顔出し看板! ブサイクなカップル!
大満足。

  いや、後半には、BC(略すな)は先に降りちゃったらしくていなかったんだけど。

今回はサラッとさわりだけで書き済ませたが、濃密というか、濃厚というか、
濃縮カルピスを4倍希釈のそばつゆの原液で割って飲むような時間であった。
生きて脳髄に届く乳酸菌。

しかしなんだろうか、
ロープウェー乗り場が行列するくらい人がいたというのに、
あのおバアの店で舌鼓を打っていたのは我々だけだ。
「昇仙峡 かき氷」で検索をかけても、
クソオサレなサイクリストや山ガールの記事みたいなのが見つかるばかりで、
山頂に住む仙人に「入間のコストコの冷凍餃子がウマイ」みたいな話を聞かされた、という記事は
ついぞ見当たらない。
世間の人間は、昇仙峡くんだりまで行ってあの話聞かずに何を見て帰るのか不思議でしょうがない。
また行くからな、それまで元気で待ってろおバア。
今度はそばかうどんか食うぞ。


  ■1日目 : 昇仙峡・仙娥滝と覚円峰


地上に降り立ち、いよいよここからが渓谷としての昇仙峡の本領である。
ダテに日本二十五勝や平成の名水100選、平成百景ランキング2位などに選ばれていない。
本来、山のてっぺんで1時間半も費やすのがイレギュラーなのであろう。
多分山頂で出会ったのも、無形文化財的な何かだ。

本来の順路としては、下流からさかのぼって来て、
最後にこの2大スポットにババーンとご対面する構成なのだろうが、
マ今回の様に、まず上流まできてしまって下っていくのもアリなご様子。

この昇仙峡の2大親分、これがまたすごかった。

昇仙峡の全体的な地域範囲としては「こぢんまり」の範疇なのに、
これら一つ一つのスポットのスケール感は大変雄大に感じさせる、不思議な収まり具合。
しかしこの昇仙峡、本当に素晴らしい景観目白押しで、
独りで来ていたら多分、朝入って夕方帰るくらいの一日いられるコースだった。
きっと、朝と夕方で全く違う表情をすると思う。
近々、また一人で来てしまうだろう。

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滝に対面するといつも思うのだが、滝は体感するものである。
目で味わう情報が占める割合が、他の景観に比して微小であることに改めて驚かされる。
音と、肌に感じる水の気配と、その水によって感じる匂い、
そしてその落差を形づくる閉鎖されながら解放的でもある「大きな小部屋」のような空間に、
その空間を支える岩や木々それぞれの、巨大な密度ある質量の存在感……。

大きなものの前に自分がいることよりも、自分が小さくなった錯覚の方を大きく感じる。
まさにその、大きな小部屋に小さくなった自分が降り立った感覚を、
しばしの間、全身でまざまざと味わっていた。

続いて現れる覚円峰。
仙人のありがたいお話で時間をとられ、いい加減腹が減って来ていたお二人を、
「もうちょっとだけ先へ」とだまくらかして、さらに下流へ。

  マ言っとくと、昇仙峡はこっちらへんがホントの見どころなのであって、
  山のテッペンで仙人にとっつかまって1時間も2時間も話を聞くのは邪道であり、
  あまつさえそれで疲弊してしまい、滝だけ見て
  「この辺はもう、そろそろいいでしょう」
  みたいな態度に出るのは言語道断っていうか観光協会に陳謝しなければならない。

これでもし、進んだ先に見どころが何にもなかったらどうしようか、と若干ビビってはいたのだが……
角を一つ曲った時点で、その不安はどこかへ消し飛んだ。
切り立った崖に左右を阻まれ、巨岩と共に間を流れる渓流の壮麗なことといったら。
下流に向かって右手側に、一際高くそびえる岩山が昇仙峡のシンボルでもある覚円峰で、
ほとんど垂直に切り立ち、丸みを帯びた頂きは中国の水墨画の様だ。

  あとから調べたところでは、高さは180mあるのだそうで。
  先日登った飯能の天覧山が190mチョイなので、大体同じくらい。
  マそれでも5、6階建てのビル1個分くらいは違うので結構違うな。

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覚円峰の、堂々としつつも秘密めいたたたずまいもさることながら、
突如視界に展開するこの渓流のバランス、風景全体が持つスピード感に圧倒される。
小さくなった自分が、ググッと下流に向けて巻く渦に飲み込まれるような感覚がある。
いやー、面白い。
この風景の中に踏み込む手前、流れにかかった小さな橋の手前でしばらく足が止まってしまった……。
流れの中に転がっている……というにはあまりに収まりが悪い、
巨岩も遠近感をおかしくするのに一役買っている。
某宇宙戦艦の足みたいだな、と口には出さずに眺めていた。
やっぱり、日本の山深い渓流の風景はファンタスティック。
こういう風景に巡り合うと、つくづく、日本には美しい水がたくさんあって本当に恵まれている、
本当に良かったと思うのことでありますよ。

こうして三人、しばし圧倒的な景勝を楽しみ、
いいだけやられて昇仙峡をあとにしたのでした。

モチロン帰り道は、おバアにもらったアドバイスの通り、
三叉路に十分注意し、一旦停止で4つ数えてから発進したのである。

 ▼昇仙峡 
 http://www.shosenkyo-kankoukyokai.com/

 ▼昇仙峡ロープウェイ
 http://www.shousenkyo-r.jp/

 ▼仙娥滝
 https://goo.gl/cwBcRz
 日本の滝100選に入っているらしい。へー(いま知った


  ■1日目 : お昼ゴハン、ひなたにて。

昇仙峡から車で30分ほど下り、甲府市街へ戻って来、昼ゴハンは、「ひなた」。
至ってフツーの食堂である。
ひと月ほど前に一人で甲府を訪れたときに見つけた食堂で、
フツーなのだが色々独特なのだった。
その時は、特に二人をここへ導くつもりはなかったのだが、
今回の宿があまりに店の近くだったので面白くなってしまい、
またお二人が「イケるクチ」なのは分かっていたので、これはもう宿命ということでお二人にお教えした。
結果、昼が遅れた空腹に任せて若干「盛った」二人はそこそこやられ、
夜までの3時間ほど使い物にならなくなった。

お店の名誉のために付け加えておくと、ゲテモノ・爆盛りの類では決してない。
昭和にはよく見かけた普通の、色々とおおらかというだけで、
初期設定をいじりさえしなければ何もおかしなことのないお店だ。良心的ですらある。

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前来たときは、OL風の女性が二人でゴハン食べていたほどだ。
ただまあ、壁を見てもらえばわかる通り、
メニューが無用に豊富で、
そのサイズ設定がまた独特で、
それを説明したり運んできたりする人物が若干スペシャルである、ということに尽きる。
よく確かめもせず、空腹に任せて盛ったりするからピンチを招くのであって。
ただ、ピンチを招かせるテンションの高まりを演出する空間であることは否定しない。
また、「面白丼ってのはなんなんです?」という問いに対し
「それねえ、作ってる方は面白くないんだよ」という答えを軽々と返してのけるポテンシャル、
人間力は秘めた者の商う店である。
彼もまた、一般的な経済のくびきから放たれた一人の……否、夫婦で一人の賢者だった。
地元の人たちから愛されているにちがいない、素晴らしきゴハンの店だった。

昇仙峡の山頂で年老いたアルパカちゃんが商うジャパリカフェも、
本人の話を聞く限り50年モノであったが、
この店も44年やっているというから……驚きである。


  「普通は、隣のガストに入っちゃうよな……」


店を出てすぐ、どちらかが言ったことばがやけに印象的だった。
ひなたさんのすぐ隣は、"ザ・無難"、"キングオブ無難"、"無&難"など、
数々の称号を恣にする無難の王、無難なメシ屋の代名詞、ガストさんなのである。
うん。
オイサンも、もう少し心に余裕がなかったら違う店行ってたと思う。
しかしあのとき躊躇なく入って良かったと、今でも思っている。


  ■1日目 : お宿にて


ひなたを出たあとは「ホビーショップいちかわ」で2000番のやすりを買い求め、
道すがら発見した「富士アイス」で「アイスを食う。回転焼きも買う」と言い出したヨ氏に
エースの底力を見せつけられたり、地元のスーパーでいくらか飲み物を買ったりして宿に戻った。

宿の部屋が、なんとマーガレットの咲き乱れるお庭のついたはなれだったのには驚かされた。
そりゃ驚くよ。
宿本館の建屋が、縦に細長いコンクリうちっぱだったのを見たときには
大した期待感を抱かなかったが、通されたときはそりゃあたまげた。
お部屋もオッサン3人にはもったいない広さで、
そしてその広い部屋にもさらにもったいない馬力を持つ巨大なエアコンがついていたからもう
いじり放題である。
最初、ちょっとつけたときに「なんかやたら冷えるな」と気付いたのが始まりだった。

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夜はテ氏お勧めの「かっぽうぎ」なる居酒屋で一献酌み交わす予定だったが、
「ひなた」でやられたのが、この日のとどめとなった格好だ。
結局少しだけ飲みにも出掛けたが小一時間引っかけただけで宿に戻った。
慌てて湯に浸かったあとは、なぜだか部屋で『けものフレンズ』の話題が盛り上がってしまって
まだ見ていないというテ氏をジャパリパークに引きずり込んでフレンズになってもらった。
たーのしーい!


  ■2日目 : 忍野八海


2日目は忍野八海へ向けてスタート。
朝ゴハンはどっか途中で適当な店に寄ろうとしていたが、
結局町なんかすぐ抜けてしまい、途中に町なんかもなく、コンビニゴハンとなった。
コンビニすげえな。
もしこの世界にコンビニが無かったら俺たちはどうなってしまうんだ。
いや、ホントにコンビニすげえよ。

途中、富士山の良く見える広い場所で一旦車を停めてゴハンを食べていたら、
どうやら土地の持ち主と思しき御仁がウロウロと見回りに来たので慌ててその場を離れる不良中年。
クックック…ここがホテルの駐車場だといつから気付いていた……?
最初からですすみませんガラガラだったのでつい出来心で。

忍野八海までは甲府から1時間チョイで到着した。
ち、近い……。
前々から行こう行こうと思っていながらも、家からではどうにもアクセスが悪く
攻めあぐねていたというのに。オクルマは偉大だ。
ジェントル号おまえやるやないか。

そうしてたどり着いた忍野八海はゲキ混みでした。
ゲキ混み
知ってます? ゲキ混みゲキ混んでんすよ(ダイレクト)。
まあこの日から本格GW突入だったし、
出発前に道路状況を確認したら、都市圏は完全に動脈硬化であり超脳溢血であり即死だったので
ワカランでもないけど、ほぼ朝イチからこんなヒトおらんでエエやん、というくらい。

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そしてまあ、ただ人が、普通のヒト、
人生の色々なことをキチンとわきまえた人々が集っておるだけならそれほどでもないのですが、
実にこう、海の向こうの広い大地で自由奔放にお育ちになった
倫理や儀礼を概ねわきまえない方々ですとか、
国内選りすぐりの野生部分を解放したフレンズとかが一山いくらで押し寄せておいででしたんで、
つまりこう、山頂のブサイクカップル的な節操のない者どもがですね、
まあいいや。
まあこう、なんというか。
穢れている。場が穢れている。ねえ。
バブルの頃の日本人も海外でこうだったんだろうなあと思うと、
いわれのない罰を受けているような気になる。俺たちは何もやってない。



しかしそんな人波を抜きにすれば、忍野八海は大変美しい場所でした。



駐車場はどうやら、現地の方々が有志で土地を提供して各々誘導や管理をしてらっしゃるご様子。
ジェントル号も、エリアに入るや否や、腰も曲がって割烹着に頭巾のおばあちゃんが、
非常に緩慢な動きでコッチダヨーコッチダヨーをやってくれたので、流れるように入庫。
あの手の動きはもしかすると、その招き通りに動かずにはおられない、
魔のリズムでも体得したものだったのかもしれない。
とはいえまあ車のサイズやなんかの難しいことは完全無視で、
来るクルマ来るクルマ片っ端から招き入れていくスタイルなので
入庫にはそれなり以上のスキルが求められるご様子。我々のドライバーは天才で良かった。
駐車料金は、協定でもあるのか、どこも一律終日300円で統一されているらしい。

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遠景には、ちょうど良いサイズの富士山がどっしりと控えて
人間が悪さをしないように常に見張っておられます。
アレに見張られていたのでは、そうそう悪いことをしようという人間は育たないのではないでしょうか。
そしてその富士の裾野を染みて伝わりわき出しているらしい水の美しいこと。
中でも、水深8mにいたるという、村の中心部に位置する最大の湧き出し口を眺め下ろすのは圧巻であった。

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これでもっと人が少なく、こころ静かに見られたなら……。
今度はどうにか頑張って、オフシーズンの平日に来よう。
人が少なければ、本当に鄙びた昔話のような風景の中を歩くことになると思う。
飛騨に並ぶ、THE・日本の風景(イメージ)を見ることが出来そうな場所だった。
小川沿いに延びる土の小道の並木など、ほとんど手の加わっていない様子で魅力的だった。

水回りについては思い描いていたよりアトラクション化されていて、
富士からの伏流水が自然にわき出す様や、
とうとうと流れるところをめでることが出来ることを期待してたので、
その辺はちょっと残念ではあった。


  ■2日目 : 忍野八海、名泉そば製麺所


サテ、昼ゴハン。
メインスポット周辺で何か食べられそうなところは、砂糖に群がるアリのごとき人だかりとなっている。

ヨ氏が、子どもの頃の記憶だがと前置きをした上で
「もっとはずれの方にそば屋があったと思う、そんなに立派じゃないプレハブみたいな……」
と、いかにも我々向きの情報を出してきた。
もう20年も前の記憶らしいが、こと食い物に関しては、
なんなら母親の腹の中で食ったもののことだって覚えていそうな男の言うことである、
その言葉を信じ、鄙びた村の中でもさらに外縁へ外縁へと歩いて行くと、
(マそれでも、観光客はいなくはならないんだけど)……あった。
それっぽい、プレハブっぽい建物。

  ……今こうして振り返りながら、今回の旅はしみじみと『ドラクエ』っぽいと思う。
  「なかまに案内されて村の外れまでついていくと、
   秘密のお店が開いていて、そこに話のキーになる怪じn……賢者がいる」


っていう。ドット絵で描かれた自分たちが見えるようだ。

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詳しく説明すると長くなるが、この店も甲府の「ひなた」と同様、
いにしえの時代……30~40年前の怪人g……否、賢者が打ち立てた独自のシステムを守り続ける
けったいn……否、優れたお店であって、またも一人の怪人に出会うことになった。
食欲のお導きである。
順を追って話すと長くなってしまうので、この「名泉そば製麺所」のモヤモヤpointを以下にまとめておく。


 ▼「名泉そば製麺所」 モヤモヤpoint
  ・食堂ではなく、製麺所である。
  ・従って、客は「おしながきを見て注文する」ことは出来ない
  ・この「製麺所」で作られた麺(そば・うどん(太・細))をおみやげとして買うことが出来る。
  ・おみやげの麺を買った客は、「サービスとして提供される、茹でたそばとうどんを食べることが出来る」
  ・茹でて食べさせてくれるのは、お客がおみやげとして買った物ではない。あくまでサービス分。
   買った分はそのまま持ち帰ることが出来る。

この謎のシステム……仮に「お土産を買ったら食べられ~るシステム」と呼ぶが(直球)
味見、試食の様なものとも、また異なる。
あくまでも購入後の「お客さん」にしか、「サービス」は提供されないから、説明が難しくなる。
お母さんも、その辺のシステムと「サービス」という言葉をことさら強調して、
訪れては首を傾げる客に対して絶えず説明していたが、ちょっと難しいと思う。
このシステムを理解するのに随分時間がかかってしまった。
「食堂とどう違うのか」とか、
「買ったお土産の麺をこの場で茹でてくれるのだろう」とか、色々と誤解を経た。
システムを理解したあとでも、
「いったいどういうマネタイズシステムなのだ」と、テ氏は頭を悩ませていた。

この、「540円で7食分買えて、且つそれとは別に1食分その場で食べられる」というのは、
現地のいわゆるフツーのそば屋と比較しても、相当お値打ちであった。
カタカナビジネスタームが大嫌いな我々でさえ、
「キミ、このプロジェクトのKPIはどうなっているんだね?」と聞きたくなるほどだ。

ここでも、お店を切り盛りする賢女との小粋な丁丁発止があったのだが、
細部はまた別記事で書こうと思う。
こちらのお母さんも、さすがこの世間の経済的なやり方に完全に背を向けたシステムを編み出し
30年から維持してきているだけあって、一筋縄ではいかない切れ味のトークの持ち主であった。
おいしいそばとうどんを頂きつつ、むやみにゲラゲラ笑っていた気がする。

  ▼忍野八海 名泉そば製麺所
  http://tokyosanpopo.com/archives/13634


  ■旅の終わり


帰りは、国道413号、通称道志みちを通り、東への帰途を辿った。
目立った混雑はなく、逆に西へ向かう車の数が目立った。
やたらと運転の上手い、速いAQUAとRX7が先導してしてくれて、
テ氏的にも面白い道であったようだ。
チョイチョイ、アグレッシブなカーブ、テ氏言うところの「爆笑コーナー」なんかがあったりして、
軽快な横Gを体に感じながらの家路だった。

途中、以前パパさん&湘南大巨人と訪れた「道志の湯」にて風呂を浴びた。
昨晩は、ひなたストライク(超必)を食らって夜までロクに動けず、
ようやく動けるようになりちょっと出掛けて帰ってきたらあっという間に風呂の時間がオシマイで、
ゆっくりと湯に浸かれる時間もなかったから、
足を延ばしてノンビリ湯に浸かることが出来てなかなか良い塩梅だった。

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ここでは、怪人は特には出てこない。



……マそんな感じで。



昇仙峡、自分で言い出したものの、「こんな普通の観光地で大丈夫かな……」と正直不安だったのだが。

  イヤ普通は普通の観光地に行くのが旅行だと思うけど。

色々予定の変更や、予想外の出会いがいっぱいあって、なんとも大満足な旅になった。
怪人たちは、旅を彩ってくれたということ以外にも感ずるところが多々あって、
……それも、あとで詳しく書こうと思うのだけど……
たった2日間、36時間の旅だったけれども、十分すぎるサイズと濃度の旅だったと思う。
イヤハヤ。
こんな旅はなかなかできないのだろう。つくづく、自分は幸せ者だなと、しみじみ思う。

出会った人たちの人生が幸せなものであることを、僭越ながら心から願わずにおられない……
……マ連中は、オイサンたちなんかよりきっとよほどの手練れであろうので、
願わなくても幸せに違いないのだけど。
彼らはハピネス強者だと思う。羨ましくなるほどに。

  ……あ、ブッサイクなアイツらに幸せはまだ早いので、先ずは3週間! お試しいただき、
  その後キッチリ別れたあとで幸せになってもらいたいです。

途中、津久井湖で一旦休憩をしたあと、
コレ言った渋滞や混乱もなく、関東へは無事に帰り着くことが出来た。

三々五々に別れたあと、「ひなた」で聞いた
「面白丼には目玉焼きが3つ乗っている」
という話が忘れられず
(他にも色々乗っていると聞いた筈なのだが、最後に聞いたそれがインパクトすごすぎて忘れてしまった)、
どうしても目玉焼きが食べたくなって、
近所のメシ屋で定食に目玉焼きを追加して、
ワリとしっかり目にゴハンを食べると、帰ったら倒れるように眠ってしまった。



素晴らしき、そして幸せな旅でありました……ぐうぐう。
今回はサワリだけを軽めに書いたけど(それでこんな行数になっちゃったけど)、
違う機会に、エゲツナイ部分もミッチリ書く。



次でラスト、2017年のゴールデン・ウィーク最後の4日間。
まったりしつつも、モノ思う豊かな時間。

オイサンでした。



 

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2017年5月20日 (土)

■甲州の3賢者と、ナインボール・ワンダーランド~2017年のゴールデン・ウィーク・その1~ -更新第1124回-

今年のGWは長かった。
オイサンの勤め先も、よーやく人並みに
"5月1日・2日は有給休暇で埋めることをおススメする"
などとしおらしいオサレなことを言い出したので
なんだオイいよいよ潰れるのか? 明けて出勤したら更地になってるとかないだろうななどと
職場内が騒然となったのだが(大げさな表現)、
もはやそのGWの息の根も止まりかけ、これを書き始めている5月の6日の今となっては
ドキドキとワクワクが詰まったワンダーランドの心持ですが(何言ってんだ)、
皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうね?
とりあえず日記メモとして、この世紀の9日間のことを簡単に書き留めておこうという次第。

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 ▼04/29~04/30
   5回目の飯能へ、1泊2日。
   特に目的はなかったが(ないんかい)、
   吾妻峡を歩くのと、龍崖山を登れたら登る、というくらい。
   どちらも「まあその気になれば」くらいのつもりでいたが、結局どちらもやった。
   得た知見は、「水辺でバーベキューやるのは許せるが、音楽をかけるやつは許せん」
   ということです。

 ▼05/01
   特に予定はナシ。
   かばん(リュック)を新調し、ネオかばんちゃんと化す(化さない)

 ▼05/02~05/03
   3紳士ーズで1泊2日の甲府旅行。
   国道411号を使い、八王子~奥多摩~甲府・昇仙峡~忍野八海。道志みちで帰る。
   毎度のごとく、奇跡のようなロクでもない出会いが次から次へと襲い来るミラクルトラベル。
   山梨なのに水辺に親しんだ旅だった。

 ▼05/04~05/05
   特に大きな予定は無い日々。
   1日はネオ百合が丘のオサレ喫茶でスコーンを食べて鶴川まで歩き、
   もう1日はお馴染みの喫茶を梯子して書き物をし、HDDの整理をして日が暮れる。
   いずれも天気が大変良く、無意味にお写真を撮ってしまうが、まあ案の定ロクな結果にならぬ。

 ▼05/06
   後半のイベントデー。19時から新宿で朗読劇を観る予定。
   先日の舞台『ペルソナ3』で風花チャン役をやった田上真里菜さんを目当てに。
   ついでに母の日の贈り物を選んだりする。
   早い時間に都心に着いてボンヤリ時間を過ごすつもりが、
   都心のうるささにすっかり疲弊してしまい、結構なダメージを負う。もうだめだ。
   そんなつもりもなかったのに、都庁の展望台へ登ったり、ラーメンを食べたりしてしまう。
   休日の新宿だというのに、ヒトの少ないことに驚く。

 ▼05/07
   最終日もこれと言って予定はナシ。
   ドトールにこもり、筋トレをしてジョギングをし、また別の茶店にこもる、
   という妖怪喫茶ハシゴじじいとしての責務を果たす。

マ上で「予定がない」としている日は、何もせずボンヤリ暇にしているわけではなく、
「いつも通り書き物をしている」のである。
そして喫茶店にこもっているときも書き物をしているので、
ワリと24時間頭の中で何かがダンスしている人だった9日間、であったと言えよう。

でも、毎度の長い休み様に、予定をきっちり考えて旅をして、
ビキビキとエネルギッシュに過ごす日々ではなかったためか、
ポンヨリとした休みだったように思う。



■■■ 序盤・その1:04/29~05/01 ■■■



当初の心づもりでは、この3日間をかけて群馬は伊勢崎へいくつもりだった。
そう、天下の超人気アニメ『日常』の聖地巡礼である。
だが、なんとなくだるくなった(ヒドイ)のと、
中盤2日間の甲府の旅に向けて1日は温存しよう、という気になったので、近場の飯能で収めることにした。

伊勢崎へは八高線を踏破して向かう気であったので、その途中にある飯能に目が付いたのと、
マあとは……新幹線や特急に乗らなくてすむので、安くつくのである。
飯能。
近いんだよ。あとここなちゃんがいるし(いません ← いるわボケ ← うっさい見たんか)。

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目的らしい目的は特になかったが、
吾妻峡の水と新緑を眺めようということと、
飯能三低山(いま勝手に命名)のうちで唯一未踏で残っている龍崖山へ、
……マ気が向いたら登ろうかな、というくらいのつもりであった。



初日は16時くらいに着いて、ほとんど何もしていない。
目当てのうどん屋が閉まっていたので結局日高屋でゴハンを食べることになって
地味にへこんだくらいである。
いるかその情報?
おかしな日高屋で、ガラス越しに隣のボーリング場の様子を観戦出来てしまう、
やってる側からすれば無料で見世物にされてしまう地獄の動物園仕様であった。
それは言い過ぎだろう。
降るはずではなかった雨に見舞われて空気がしっとりしていた。

2日目は、早朝からいつもの天覧山へ登り、昼からは飯能河原を渡って吾妻峡へ。
すっかり見慣れた景色だが、キレイなモンはキレイだ。

東飯能駅の東側や、秩父へ向かう池袋線沿い辺りは初めて歩いたが、
朝の八幡神社がやけに美しかった。
あと謎のつぶれたての模型屋を見つけたりする。気分しっとり。


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天覧山。変わらぬ眺望

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八幡神社。ゆる狛犬。

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八幡神社。光がきれい。

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つぶれた模型屋3連発。時代であるが、つぶれたのは最近。


しかしGW初日とあって、すっかりウェイなウェイ民が河原でウェイウェイBBQなどを嗜んでおられ、
マそれは別に構わんのだけども、
肉や野菜を焼くのはともかく、大きな音でしょーもない音楽をかけるのは、それは必要かね!?
と言いたかった。
必要以上にうるさくする意味がどこにあるのか。川のせせらぎに耳を傾けたまえよ。

お昼ゴハンは、吾妻峡へ向かう途中の、橋のたもとにある名も知れぬ小さなうどん屋でいただいた。
特別なお店ではなかったけど、ひなびた感じの良いお店だった。
テーブルごとにおいてあるお品書きが、コピーでなく全部手書きだったのに驚かされた。
全部を確かめたわけじゃないけど……周り3つが全部ちがってたので、多分そう。
結構な落としのお婆さんとおじいさんでやっているお店だったので、
きっと「コピーをとる」という発想そのものがないのだと思う。
あるにしても、それは「特別なこと」の部類なのだろう……。
なんていうかね、そんな味がするお店だよ。わかるでしょ? わかれ。

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じいちゃんばあちゃんでやってるうどん屋。最高のロケーション。


吾妻峡を渡り切ってからドレミファ橋を西岸側の道へあがり、
龍崖山への道を探しながら上流方面へ結構歩いたが
見つけることが出来なかった(調べとけや)。
おかしなオブジェクトにはいくつか巡りあったがそういう出会いは求めてねえ!


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今にも「よく来たな!ここを通りたければクイズです!第一問!」って言いそうなオブジェ。


吾妻峡では、久しぶりにオタマジャクシなんか見たな。
そこそこ歩いた先で橋を渡って折り返し、川の東岸を下って、
またドレミファ橋の地点から西側の道へ上がって今度は町の方、
下流方面へ向けて歩いていたら……あったあった、龍崖山への登り口。

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水清き飯能。さいたま侮りがたし。

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オタマジャクシ。何十年ぶりに見たかな。



しかしこの時点で既にそこそこ歩いて体力を消耗しており、時間も……
どうしたものか思案したが、
さっき食べてしまった謎のジェラート屋のジェラートのカロリーが気になってしまい、
とりあえずちょっとだけ登ってみることにした。

 ▼龍崖山 ハイキングコース
 http://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=31678

デ後悔することになるのだが、龍崖山、山頂まではすぐなのだ。
15分も登らないのではなかろうか。
そこから南側の龍崖山公園方面へ降りようとすると、
下っては登り、下っては登りを繰り返すなかなかスパルタンな下山となるのだった。
その道の付きようは、なるほど東洋の胴長龍が寝そべって削れた痕のようで、
龍崖山とはよく言ったもんだと正しい名の由来など知らずに感心したものだった。

山を抜けてからも、すり鉢のような公園の底からグイグイ坂を登らされ、
丘の上にあたる住宅街を抜けて飯能の市街地に出るまでがまた長く、
結局、そこそこの日差しと気温の中を4時間半近くも歩かされて大変疲弊する結果となった。

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龍崖山山頂。まあ大した眺めじゃありません(ヒドイ)
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かつて古代文明において、テトリス的な何かが行われた跡。




ただ、その坂を下る途中で思ったことは今後の課題になることだったので、
こことは別でまとめて考えようと思う。




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今回の飯能でも、またここなちゃんには出会えなかったが、
意外性のある楽しい飯能だった。

そうそう、宿の鍵のお尻のところが何故かパックリと割れて外れる仕様になっていたのが
妙におかしかったな。
フロントで預けるときに「これなんでこうなってんの?」と聞いたら慌てて
次受け取ったときには外れないように直っていたw
別に直さなくてもいいのに。

この日、朝の天覧山への往復も含めると、
踏破距離はどうやらざっくり見積もっても20㎞近くなるようだ……。
山道こみで、トータル6時間チョイ。




帰り着いたときは
「そんなに高い山に登ったわけでもないのに、なぜこんなに疲れているんだ……。
 これが老いというものか……」
って凹んでいたけど、そら疲れるワケだよ。普通疲れるよ。



■■■ 序盤その2:05/01(月・祝) ■■■



5月に入っての1日目は、特に予定はなかった。
日々の些事をこなして、明日からの旅に向けて鋭気を研ぎ澄ます。
前日、山から帰って倒れるように寝てしまったので3時半とかに目を覚ます。

関東近辺の空模様が、昼から突然大雨になる、みたいな予報だったので、
外をうろつくのは午前中に終わらせてしまい、
午後の時間帯にはなじみの喫茶店にしけこんで、
雨の音を聴きながら書き物でもしよう、と雨まで予定に組み込んでみる。

AM、となり駅までカバンを見に出かけた。
あとは、夏山向けのいでたちも整えられたら……と思ったが、
山の衣類なら海老名のモンベルまで行った方がよかったな、と思い直す。
近いうちにそっちも見に出かけよう。

郵便局にお金を引き出しに寄ったとき、
そういえばキャッシュカードが割れかかっていたことを思い出し、
平日で窓口も開いている上アホみたいに空いていたから気まぐれにうかがってみたのだが、
印鑑がいる、と言われて結局処置は出来なかった。マそうですよね。

ハンズが開店直後で、入り口にお出迎えの店員に頭下げられて居心地が悪かった。
こんなオッサンに頭下げんでもエエんやで。そういうことするからアホが勘違いするんやで。

ハンズでは大した収穫がなかったが、
次に行ったスポーツショップでナイスなリュックに出会えた。
今使っている、solo touristの10Lサイズではちょっと容量が足りなくなっており、
それとよく似たデザインの20LがColumbiaから出ていた。
お値段もそこそこだったので、お試し気分で思い切って買ってみる。
取り回しが良ければ良いのだが……この9連休で感じたところでは、もう一歩というところ。
そもそも、リュックという形状が自分には合わんのではないか、という結論にも至りそうである。


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「あらおつかれさま。イッパツ抜いてく?」と言っていることは明らかな、
飯能のナゾ看板。



予定よりも少し早めだが自宅へと引き返して歩く途中で、
ポツリ・ポツリと雨だれに当たり始めた。
イカン、間に合うつもりで布団が干しっぱなしである。
足を速めて帰り着き、ギリギリセーフというタイミングで取り込むことが出来た。
色気を出して、途中のパン屋に寄ったりしなければ完全にセーフだったのだが。

その雨は前兆に過ぎずすぐ止んで、本番の大雨はまだやってこないようだったので
その隙に駅前のひなびた喫茶へ滑りこみ、ドンガドンガ言う雷を聴いて過ごした。
客足も少なく、まあ良い時間であった。
ただ、店でかかってたCDが、つるのナニガシのカバーアルバムでなんとなく気が散る。



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うどん屋さん、窓辺のいちりん挿し。ほっとする、はっとなる。



まだまだ長くなるので一旦ここらで切るか。
次は中盤戦、連休もクライマックス(早いな)3紳士ーズでの甲府・昇仙峡一泊旅行です。
ボルテージは早くも最高潮!(無理やり)


オイサンでした


 

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2017年1月15日 (日)

■立ち止まる時間のまちと湖。~『北へ。』22、四度目の摩周湖~ -更新第1103回-

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1月6日の午後から1月9日にかけて、3泊4日で北海道へ行ってきた。
場所はおなじみ、道東・弟子屈(てしかが)、釧路・摩周である。
4年ぶりに摩周湖さんに会いに行こうと思った。やっておきたいことがいくつかあった。



■『北へ。』その22~釧路・摩周~ 旅のはじまりは……


「そういえば、まだRX1さんと摩周湖さんを会わせていなかった」
と気付いたのが、今回の旅の端緒。
前に弟子屈を訪れたのが2013年のやはり1月だから、
丸4年、ご無沙汰していることになる。
RX1さんがうちに来たのがその翌年の夏なので、摩周湖さんとRX1さん、お二人はまだ面識がない。

「新しいカメラを買ったからなんか撮りに行きたい!」というのはこちらの沼では常套の話だが、
「カメラを替えたから、前のカメラで撮ったあの景色を収め直しに行きたい」
というのは、個人的にはあまり聞いたことがない。
マ皆さん言い分けていないだけかもしれないけれども……。
我ながら、なんだかおかしな欲求かもしれないとも思う。
しかしRX1さんにはぜひ一度、その目で摩周湖さんを見ておいてもらいたかった。

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いつもなら、「北海道へ行く!」と決めても、そこから
「……サテ、広い北海道、どこへ行こうか?」といくらか思い悩むのが常なのだが、
今回はその気持ちがあったからスンナリと行く先が決まった。



■旅の宛て先

 ▼その一~星をみるひと

今回やろうとしたことのヒトツに、星を見ることがある。
今までのようにざっくりと「きれいな星空を見る」ではなく、
決まった星を一つ、目的として持っていった。

……のだが、摩周に滞在した2夜とも空は陰り進行だったため、
結果として見ることは出来なかった。

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深夜3時の弟子屈。

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けれども、「星を見る」という今当てどころをよりつぶさに解きほぐせば、
「ある星を見たいと思って出かけることと、その気分」がより重要で、それは十分に味わえた。
結果的に見られなかったことも、実は予定通りに見られるよりむしろ良い発想の種になったから
首尾は上々といえる。
まったく、旅というのは出掛けてみないとどんな良い結果が得られるかわからない。
そもそも目的の星も、特段北の空気のきれいな場所でないと見られないというワケでもないから
ただ見たいなら方法を少し考えれば良いので構わない。

ていうかじゃあ、お前のその目的の設定がそもそもどうだよw


 ▼旅の宛て先・その二~細岡の大観望にたどり着けない、その代わり……

釧路・摩周・弟子屈を堪能するとあっては、釧路湿原さんへのご挨拶は欠かせないわけだが、
如何せん、今回はそれがかなわないことが分かった。

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2013年、細岡の大観望からの釧路湿原


これまで釧路湿原さんにお目通りするのには、
摩周からの帰りに釧路湿原駅で降りて2時間ばかりごあいさつをし、
また列車に乗って釧路に戻る、という経路をとっておった。
今回も同じようにしようと考えて時刻表を確認したところ……なんと!
驚くべきことに! 釧路湿原駅の下り(網走→釧路)方面の時刻表がこうなっておったのである。

  ▼えきから時刻表・釧路湿原駅 [JR]釧網本線 釧路方面
  http://ekikara.jp/newdata/ekijikoku/0101121/down1_01661031.htm

1日1本!
これではいけない、降りたが最後、氷点下の吹き曝しに捨て置かれる地獄のぶらり途中下車である。
幸い、まだのぼり方面は日に2本をキープされているのだが……。
この、私と釧路湿原さんを引き会わせまいとするJR北海道さんの陰謀により、
今回は釧路湿原さんとの邂逅をあきらめざるを得なかった。
しかしそれでは旅を満喫したことにならぬ、
どうにか湿原へのアクセス出来ないものかと方法を探していたところ……
こんなものが見つかった。


  ▼リバー&フィールド
   http://riverandfield.com/


弟子屈を中心に展開されている、ネイチャーガイドさんである。
湿原をカヌーで下ったり、摩周湖近辺をスノーシューでトレッキングしたりという、
一昨年の冬、阿寒でやったのの弟子屈版である。

摩周湖さんの美しさを愛してやまない自分ではあるが、
冬にしか訪れたことが無いため第一展望台からの眺めしか知らない。
この機会に、摩周湖さんに違う角度から話しかけてみるのも良いのではなかろうかという思いもあり
外輪山をスノーシューで歩くツアーに申し込んでみた。
これが今回の目的の大きな2つ目になった。


 ▼旅の宛て先・その三~マチアソビ

あとは、いつも立ち寄っている町のお店をめぐって帰ってくることくらいだが、
これはほぼオマケだ。
毎回立ち寄るコーヒーの専門店、珈路詩(カロシ)さんでお茶をいただくことと、
駅の古本屋にいたドールさんが元気で店番をしているか、
ご機嫌をうかがいにいくくらいなものだ。



■流れない時間への旅

我ながら、変わり映えのしない旅ではある。
宿も毎回同じホテル摩周さんだし、
お昼ゴハンは、駅前にある喫茶・人形の家さんで食べるつもりにしている。

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摩周駅前、喫茶 人形の家


人からは「何回も行ってるのに、なにか新しいことはしないのか」と叱られそうな気がする。
しかし、自分にとって釧路・摩周への旅は、新しい発見の旅ではなく、
変わらなさを確かめるためのものであるように、今回思い当たった。

摩周湖さんの水鏡は、青と白の中にぴたりとその流れを止め、
もう幾千年も姿を変えていないであろう。
実際、流れ込む川も、流れだす川も、摩周湖さんは持たない
(おかげで、厳密に国土管理的には「湖」のカテゴリから外されてさえいる(本当))。
細岡の大観望から見渡す釧路湿原の、視界の隅から隅までピクリとも動かないたたずまいを確かめ、
変化に乏しい(失礼)釧路の町を歩く。
初めて訪れた2005年から12年、四度に渡って同じ足跡をたどっても何ら変わるところがない。
その変わらなさに、嬉しさと安心を……自分はどうやら、感じているらしい。


それに、上でも書いたけれども、釧路の駅の中にある古書店には一人のドールのお嬢さんがいる。
店の通路に置かれた椅子に、しんずりと座っておられるのだ。
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2013年、釧路駅の中の古本屋


彼女に初めてお目通りしたのは2005年、
アニメやオタク文化が、まだまだ世間に浸透する前の、白眼視も拭われきれない頃からだ。
ドールなんて物が店の真ん中に置かれてあっては、うす気味の悪いと噂されかねない頃である。
それでも彼女はそこにいて、2009年にも、2013年にもずっといた。
果たして今日もいてくれるだろうか? と、不安と期待を抱いたオイサンを、
彼女は変わらず迎えてくれたのだった。

古本に囲まれて座る彼女を見つけたとき、
えらくうれしい気持ちになっている自分に気が付いた。とてもホッとした。
なんだかひとン家のドールに恋をしてる変人の様だなあ、とは自分でもキチンと思ったが、
マ別に今更、ドールに恋をしてなくたって変人なのは分かり切ってるから
してたっていいんだけども、
とにかく、
彼女が今もそこにいてくれたことに、胸に花の咲くような喜びと、
その花に水をやるような安らぎを覚えたことは確かなのだった。

自分にとって彼女は、危うさの上にありながら変わらない様々のことの象徴のように、
無意識のうちになっているのかも知れない。
昨日の昨日、そこに立って相対するまで、そんな風には全く思っていなかった。

ともあれ、釧路から摩周湖へいたるまでのそっと変わらぬ旅路を歩くとき、
オイサンは、自分の時間がきゅっと音を立てて縮こまるのを感じる。
摩周の駅に降り立って遠く美羅尾山を見はるかすと、
時間の中に閉じ込められて縮こまりながら、踏み出しても踏み出しても景色の変わらない中で立ち止まって、
満足げに振り返っている感じがするのだった。

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摩周駅から臨む美羅尾山。変わらぬ佇まい


……マそうは言ってもね。
先にも書いた、JR事情のように変わりつつあるものもある。町並みも端々はチョイチョイ変わる。
その危うさがまた自分を惹きつけてもいる。
いま感じている自身のこの気持ちも、終着点ではないのだろうと思うから、
その先を確かめるために、きっとまたこの町と湖を訪れてしまうのだろうと思う。

つまりこのオジサンはまた釧路に来ます。



■摩周湖さんの肌艶

デ、肝心の摩周湖さんのご機嫌は? おハダのノリはどうだったかというと、
これがまた、自分史上最高の摩周湖さんにお会いできたと言っていいほどだ。

いまコレを書きながら、心が洗われるとはこういうことかと実感している。
大げさに聞こえるかもしれないが、
胸の内側が大きな風景と空気に占められて、余分なものはどこかへ行ってしまった。
ただただ清涼な気分が、体の肉の内側に張り付いている。
いま、自分の体の中を歩くことが出来るなら、摩周の風景が広がっていることだろう。

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これまでも存分に美しい美しいと思ってきて、
きっと今回も同じように美しいのだろうなあ、くらいに思って来たオイサンの、
慣れて緩んだ心の糸がスパッと切り落として新しいものに張り替えられてしまった。
澄み切ったはじめての美しさで迎えてくれたのだから……
なんていうか、デキるオンナです。デキた女房です。


こんばんわ、オイサンです。摩周湖と結婚しました。


  そう、いつもの第一展望台から摩周湖さんと見つめ合っていて
  「霧のない摩周湖を見ると今期が遅れる」という、言い伝えなのか言葉遊びなのかわからない
  一見無責任な言いっぷりに実は根拠があったことに、
  今更ながら実感を持って気付くことが出来た。
  あんな美しさを知ってしまっては、伴侶にも同じ程度を求めてしまうから相手を見つけられなくなってしまう、
  と言っていたんだと、
  ポカンと口を開けて気付いたのだった。
  ウーム。遅い。4回めでようやくだ。なんてこった。

今回は摩周に2泊して、両日とも摩周湖さんに会いに行った。

初日は晴れて風もなく、湖面がとても穏やかだった。
すると鏡になった深い青の湖面に雪でお化粧なさった摩周岳が映り込み、
なんとまあ……此方と彼方を隔てる窓のように美しい。
素朴なのに豪奢である。

摩周湖さんのいる景色全体の有り様は、オイサンごときの手ではとてもじゃないけど
写真で写し取ることは出来ないけれども、
この鏡になった水面の美しさは、どうにか持って帰ってくることが出来たと思う。
いやあーRX1さん、
オイサンはあなたの目で摩周湖さんの美しいのを見て撮って帰って欲しいと思って、
摩周湖さんに会わせたいと思って連れてきたのだけど、
素晴らしいタイミングでお二人を引き合わせることが出来たと思う。

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展望台から西。雄阿寒岳、噴煙を噴く雌阿寒が見える。

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陽が落ちて、凍てた色を濃くする。


スノーシューでの摩周湖外輪山・軽トレッキングは2日目。
午後2時前、摩周湖第一展望台をスタートし、第三展望台のある北方向へ向けて1時間ばかり歩いた。

  ちなみに、スノーシューってのはこういうのね。
  写真撮ってくれば良かった……。みすった。
  

天気は徐々に変化して、
うっすらとした曇りから雪が少しちらつき、最後には晴れて、
煙っていた湖面と摩周岳の山頂が顔を覗かせていく様はドラマチックだった。
夕日に照らされて、雪をかぶった外輪山の斜面が金色に染まった。
これまでと角度を変えて見る摩周湖さんは、
第一展望台からよりも近く、大きく見えて、劇的な違いこそなかったが、
短い時間に次々と面差しを変えてコレマタ非常に魅力にあふれていた。
それが、北東側の風景。

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西側は、弟子屈(てしかが)の原野と低い山々を挟んだ先に阿寒の峰がそびえ、
その上から、まっすぐに日の光が降りているのが見えた。
太陽柱、サンピラーと呼ばれる現象だった。
そしてまた、青とオレンジ、
一見馴染み難そうな二つの色が絶妙な配合で調和して揺るぎなかった空の色は、
おおよそこの先一生お目にかかれないであろうという代物だった。
関東は言わずもがな……地元奈良でも、信州でも北陸でもお目にかかれないであろう、
色と落ち着きだった。

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今回案内してくれたガイド歴12年というタケギシさんはオイサンより二つ上で、
「なんか今日はいい景色が見られそうな予感がする」
と、雪男らしいざらっとしたアゴヒゲの口元で、スタートから言っていた。
マ半分はリップサービスであるにしても、この数時間のうちに現れた情景はその言葉にあまりある。

いやはや。絶佳。堪能した。



■Closing、そして……

そんなことで。
取急ぎディティールはおいといて、
あまりに素晴らしかった今回、北海道22回目の釧路・摩周編、4度目の摩周湖のことを書き留めた。
ガイドのタケギシさんは、

  「こうして来てみて、帰ったら、なんかこの時間なんかホントにあったのか、
   幻だったんじゃないかって思うことありますねw
   あのガイド、ホントにいたのか? っていうくらい」

と、ヒゲのくせに(失礼)冗談めかしてロマンチックなことをおっしゃる。
悔しいので、
「ああ、ヒゲの濃い妖精かなんかだったんじゃないかってw?」
と落としておいたけど、本当に夢のようなひとときであった。

  尚このタケギシさん、かつてはカナダのユーコンでガイドを務めた経歴もお持ちで、
  かの名作『水曜どうでしょう ユーコン160㎞』を現地で見、ゲラゲラ笑っていたのだという。
  ブルーゴールドの摩周湖と、雄阿寒に降りるサンピラーを右手と左手に捕まえて、
  「ユーコンの男ピートw!」
  と二人で大笑いしたことは、まあなかなか忘れられそうにない。

  道東の新雪はそれはもうフカフカで、不慣れなオイサンはスノーシューを履いていても
  時折ズッポシズッポシと膝まで、ときには腿まで埋もれるほどだった。
  それを見てタケギシさんは、またゲラゲラ笑うのだった。
  ありがとうタケギシさん、ツアーのはじめに一通りの身ごしらえをしたオイサンを
  頭のてっぺんからつま先までシゲシゲ眺めて、
  「えー、ペースに合わせて行けるところまで行こうと思います。
   オイサンさんは体力に自信は……マ大丈夫ですよね」
  と、安心したように言ったことをオイサンは忘れない。
  バカヤロウこちとらか弱いアラフォーのオッサンやぞ。ちょっとしたことで死ぬぞ。
  やさしいせえよ。

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タケギシさんと二人見上げて、「この青色にはもうお目にかかれないかもしれない」と話した空。
正直、ちゃんと撮れてはいない。

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しかし彼の言うように、摩周で過ごした3日あまりの時間は、
日常へ帰ると心からも体からもすっと離れていってしまう、夢マボロシの時間だ。
身魂をあれほど強く満たした感覚でさえたちまちのうちに剥がれ落ちて、思い出すことも出来なくなる……。
人とは、何とも薄情に出来ている。

しかしそれでは、あまりに寂しい。
だからオイサンはむしろ、あの場所・あの時間こそが現実なのだ、と思うのだ。

詳らかな言葉には出来ないが、
人が……自分がよりよく感じ、生命を発揮するのはあのような時空でこそあって、
街に生きる日常の時間は、そこへたどり着くまでのかりそめの、休養であり充電のときであるように、
あの空気を知ってしまうと、思えてくる。
どちらがウソでホントウという話ではない。
いつが生命の開き切る本番か、というくらいのことだ。
心も体も、街にいるよりケタ違いに力を持っていたからそう思う。


 ▼冬休みの宿題

「堪能した」とは言うものの、やはり今回もいくつも宿題を残してしまった。
細岡大観望から釧路湿原さんにご挨拶出来なかったのは、やはり大きな心残りではあるし、
釧路の喫茶店・珈路詩さんへも、立ち寄ることが出来なかった。
珈路詩さんは月曜定休だったのである。これはウッカリしておった。残念である。

  キレイで広くて、いいお店なんですよ。ホント。
  大病院が目の前だから、病院帰りのご老人のたまり場だけど。

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2013年の珈路詩さんの店内。翌年再訪すると、マスターはこの1週間後に亡くなられていた。刹那の出来事。

珈路詩さんへはまた訪れればよいが、
細岡の大観望へは、JRの運行事情が改善されぬことには、
再び訪れることはオイサンには難しかろう。
今後釧路湿原さんとお近づきになるには……
次回、またリバー&フィールドさんをお呼びしてカヌーイングやらお楽しむしかねえなこりゃ。
参った参った(アウトドアグッズのカタログを開きながら)。

くだんの、ドール子さんのこともある。

彼女のことは、今回敢えて写真に収めてこなかった。
4年前に撮ったものがある。彼女の姿は変わらない。それで十分だ。
あとは、次も、その次も会いに訪れて、姿を確かめれば済むことだ。
お名前はあるのかとか、いつからいるのかとか、
次行ったらお店の方にお聞きしてみたいと思っている。

  ……思ってはいるが、そん時多分、オイサンもう50手前だな……
  さすがにうす気味悪さマックスハートか?
  うーむ、ご、50か……さしものオイサンも、ちょっと考えてしまうな。
  マいいけど。聞くんだろうけど。

今回店を訪れて、最初姿が見当たらなかったときは、
前回「足の具合がちょっと悪いんですよ」とお店の方が言っていたので、
もしかしたら……という考えが頭を掠めた。
けれど本棚の陰の、少し目立たないところに変わらない姿の彼女を認めたとき、
思わず「あ」と小さく声を上げてしまった。

空港へ向かう帰りのバスの中、ドール子さんへの肩入れの度が膨れている自分に気が付いて、
どうしてなのだろうか、と考えた。
もしかすると彼女自身が、本好きの、古本屋の主なのかもしれない……とか、
摩周湖が人の姿を借りて下界に降りてきたその憑代の抜け殻だったら、とか……
我ながらおかしな方向へ飛び去ろうとする思考を楽しんでいるうち、
変わらず、あやういものへのシンパシーに気付いたのだった。
思えば、変わらない場所をおとずれることは、「帰る」ことに等しいように思う。

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帰りの機上。近くに別の機影。


などと、また突拍子もない妄想をふつふつと胃の底で温めながら、今回の旅は帰途を迎えた。
このたいせつな一つの町と湖を、ゆっくりを時間をかけて味わっていきたいと思う。
次もまた変わらぬ姿で、ただすぎ行く旅人の自分をクスリと笑って見送って欲しいと思うのだった。

We can never change.
立ち止まり、ただ振り返るように生きてゆきたい。

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あと、悪いことは言わないから、
行ったことのない方は、騙されたと思って是非一度、
死ぬまでに冬の摩周湖へ行かれることをお勧めする。
損はさせぬよ。


オイサンでした。


 

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